2018年のセンター試験 数学ⅡB 第4問ベクトルの解説をします。
まだ問題を解いていない人は解いてから解説を読んでください。
(1) $\Vec{AB}=\myBox{ア}$ であり
\abs{\Vec{AB}}^2=\abs{\vec{p}}^2-\myBox{イ}~\vec{p}\Cdot\vec{q}+\abs{\vec{q}}^2~\cdots\cdots①
\end{align*}
⓪~\vec{p}+\vec{q}\quad ①~\vec{p}-\vec{q}\quad ②~\vec{q}-\vec{p}\quad ③~-\vec{p}-\vec{q}
\end{align*}
(2) $\Vec{FD}$ を $\vec{p}$ と $\vec{q}$ を用いて表すと
\Vec{FD}=\dfrac{\myBox{ウ}}{\myBox{エ}}\vec{p}+\dfrac{\myBox{オ}}{\myBox{カ}}\vec{q}~\cdots\cdots②
\end{align*}
(3) $s,~t$ をそれぞれ $\Vec{FD}=s\vec{r}$, $\Vec{FE}=t\vec{p}$ となる実数とする。$s$ と $t$ を $a$ を用いて表そう。
$\Vec{FD}=s\vec{r}$ であるから,②により
\vec{q}=\myBox{キク}~\vec{p}+\myBox{ケ}~s\vec{r}~\cdots\cdots③
\end{align*}
\vec{q}=\dfrac{t}{\myBox{コ}-\myBox{サ}}\vec{p}-\dfrac{\myBox{シ}}{\mybox{コ}-\mybox{サ}}\vec{r}~\cdots\cdots④
\end{align*}
s=\dfrac{\myBox{スセ}}{\myBox{ソ}\left(\mybox{コ}-\mybox{サ}\right)},~t=\myBox{タチ}\left(\mybox{コ}-\mybox{サ}\right)
\end{align*}
(4) $\abs{\Vec{AB}}=\abs{\Vec{BE}}$ とする。$\abs{\vec{p}}=1$ のとき,$\vec{p}$ と $\vec{q}$ の内積を $a$ を用いて表そう。
① により
\abs{\Vec{AB}}^2=1-\mybox{イ}~\vec{p}\Cdot\vec{q}+\abs{\vec{q}}^2
\end{align*}
\abs{\Vec{BE}}^2&=\myBox{ツ}\left(\mybox{コ}-\mybox{サ}\right)^2 \\[4pt]
&\quad +\myBox{テ}\left(\mybox{コ}-\mybox{サ}\right)\vec{p}\Cdot\vec{q}+\abs{\vec{q}}^2
\end{align*}
\vec{p}\Cdot\vec{q}=\dfrac{\myBox{トナ}-\myBox{ニ}}{\myBox{ヌ}}
\end{align*}
(1)の解答
$\Vec{AB}$ を変形する問題は,始点をFにして考えよう。
$\Vec{AB}=\Vec{FB}-\Vec{FA}$ より
\Vec{AB}=\vec{q}-\vec{p}
\end{align*}
これより
\abs{\Vec{AB}}^2&=\abs{\vec{q}-\vec{p}}^2 \\[4pt]
&=\abs{\vec{p}}^2-2\vec{p}\Cdot\vec{q}+\abs{\vec{q}}^2
\end{align*}
(2)の解答
(2) $\Vec{FD}$ を $\vec{p}$ と $\vec{q}$ を用いて表すと
\begin{align*}である。
\Vec{FD}=\dfrac{\myBox{ウ}}{\myBox{エ}}\vec{p}+\dfrac{\myBox{オ}}{\myBox{カ}}\vec{q}~\cdots\cdots②
\end{align*}
内分点へのベクトルの表し方を思い出そう。
点DはABを $1:3$ に内分する点であるから
\Vec{FD}&=\dfrac{3}{4}\Vec{FA}+\dfrac{1}{4}\Vec{FB} \\[4pt]
&=\dfrac{3}{4}\vec{p}+\dfrac{1}{4}\vec{q}
\end{align*}
(3)の解答
(3) $s,~t$ をそれぞれ $\Vec{FD}=s\vec{r}$, $\Vec{FE}=t\vec{p}$ となる実数とする。$s$ と $t$ を $a$ を用いて表そう。
$\Vec{FD}=s\vec{r}$ であるから,②により\begin{align*}である。また,$\Vec{FE}=t\vec{p}$ であるから
\vec{q}=\myBox{キク}~\vec{p}+\myBox{ケ}~s\vec{r}~\cdots\cdots③
\end{align*}\begin{align*}である。③ と ④ により
\vec{q}=\dfrac{t}{\myBox{コ}-\myBox{サ}}\vec{p}-\dfrac{\myBox{シ}}{\mybox{コ}-\mybox{サ}}\vec{r}~\cdots\cdots④
\end{align*}\begin{align*}である。
s=\dfrac{\myBox{スセ}}{\myBox{ソ}\left(\mybox{コ}-\mybox{サ}\right)},~t=\myBox{タチ}\left(\mybox{コ}-\mybox{サ}\right)
\end{align*}
直前に「$\Vec{FD}=s\vec{r}$ であるから」とあるから,この式を変形すれば良いはず。
&\Vec{FD}=s\vec{r} \\[4pt]
&\dfrac{3}{4}\vec{p}+\dfrac{1}{4}\vec{q}=s\vec{r} \\[4pt]
&\vec{q}=-3\vec{p}+4s\vec{r}~\cdots\cdots③
\end{align*}
同様に「$\Vec{FE}=t\vec{p}$ であるから」に着目しよう。
点EはBCを $a:(1-a)$ に内分する点であるから
&\Vec{FE}=(1-a)\Vec{FB}+a\Vec{FC} \\[4pt]
&t\vec{p}=(1-a)\vec{q}+a\vec{r} \\[4pt]
&\vec{q}=\dfrac{t}{1-a}\vec{p}-\dfrac{a}{1-a}\vec{r}~\cdots\cdots④
\end{align*}
平面ベクトルを一次独立(平行でなく $\vec{0}$ でない)な2つのベクトルで表したとき,ただ1通りで表されることを利用しよう。
今回の場合は,$\vec{q}$ を $\vec{p}$ と $\vec{r}$ で表したとき,③と④の2通りで表されている。
ここで $\vec{p}$ と $\vec{r}$ は1次独立なベクトルだから,$\vec{q}$ ③と④が別のものに見えるが,実は同じ式だということ。つまり,$\vec{p}$ と $\vec{r}$ の係数がそれぞれ等しいということ。
$s,~t$ の2文字で2つの方程式があるから,$s$ と $t$ の値を求めることができるはず。
$\vec{p}$ と $\vec{r}$ は平行でなく,$\vec{0}$ でないから,③,④より
&\begin{cases}
-3=\dfrac{t}{1-a} \\[4pt]
4s=-\dfrac{a}{1-a}
\end{cases} \\[4pt]
&\begin{cases}
s=\dfrac{-a}{4(1-a)} \\[4pt]
t=-3(1-a)
\end{cases}
\end{align*}
(4)の解答
(4) $\abs{\Vec{AB}}=\abs{\Vec{BE}}$ とする。$\abs{\vec{p}}=1$ のとき,$\vec{p}$ と $\vec{q}$ の内積を $a$ を用いて表そう。
① により\begin{align*}である。また
\abs{\Vec{AB}}^2=1-\mybox{イ}~\vec{p}\Cdot\vec{q}+\abs{\vec{q}}^2
\end{align*}\begin{align*}である。したがって
\abs{\Vec{BE}}^2&=\myBox{ツ}\left(\mybox{コ}-\mybox{サ}\right)^2 \\[4pt]
&\quad +\myBox{テ}\left(\mybox{コ}-\mybox{サ}\right)\vec{p}\Cdot\vec{q}+\abs{\vec{q}}^2
\end{align*}\begin{align*}である。
\vec{p}\Cdot\vec{q}=\dfrac{\myBox{トナ}-\myBox{ニ}}{\myBox{ヌ}}
\end{align*}
$\abs{\Vec{AB}}^2$ については,既に求めているから飛ばそう。つまり,いちいち確認しないということ。
とはいえ,視覚に入った時点で確認してしまうというのも頷ける。実際,見た瞬間に「そうだよな」と分かるなら,それで良いと思う。
しかし「これってどうしてこうなるんだろう?」となってしまって,すぐに分からない人にとっては,厳しい言い方だが,確認するだけ時間の無駄となる。確認したところで,1点も増えず,時間だけがなくなる。大切なのは得点することなのだから,さっさと次に進んだ方がより高い得点につながる。
ということで $\abs{\Vec{BE}}^2$ を考えよう。求める方法は始点をFにするだけ。
\abs{\Vec{BE}}^2&=\abs{\Vec{FE}-\Vec{FB}}^2 \\[4pt]
&=\abs{\Vec{FE}}^2-2\Vec{FE}\Cdota\Vec{FB}+\abs{\Vec{FB}}^2 \\[4pt]
&=\abs{t\vec{p}}^2-2t\vec{p}\Cdota\vec{q}+\abs{\vec{q}}^2 \\[4pt]
&=t^2-2t\vec{p}\Cdot\vec{q}+\abs{\vec{q}}^2 \\[4pt]
&=9(1-a)^2+6(1-a)\vec{p}\Cdot\vec{q}+\abs{\vec{q}}^2
\end{align*}
$\abs{\Vec{AB}}^2$ と $\abs{\Vec{BE}}^2$ が等しいことを利用して,$\vec{p}\Cdot\vec{q}$ を求めよう。
$\abs{\Vec{AB}}^2=\abs{\Vec{BE}}^2$ より
&1-2\vec{p}\Cdota\vec{q}+\abs{\vec{q}}^2=9(1-a)^2+6(1-a)\vec{p}\Cdota\vec{q}+\abs{\vec{q}}^2 \\[4pt]
&2(3a-4)\vec{p}\Cdot\vec{q}=9(1-a)^2-1 \\[4pt]
&2(3a-4)\vec{p}\Cdot\vec{q}=\{3(1-a)+1\}\{3(1-a)-1\} \\[4pt]
&2(3a-4)\vec{p}\Cdot\vec{q}=(4-3a)(2-3a)
\end{align*}
\vec{p}\Cdot\vec{q}=\dfrac{3a-2}{2}
\end{align*}
2018年 センター数学ⅡB ベクトルを解いた感想
2018年のベクトルは図を1つも描かずに解くことができた。
誘導通りに解き進めることで,特に悩むこともなく解くことができる。
したがって,いかに速く解くかが重要である。