2018年センター試験 数学ⅠA 第3問 場合の数・確率の解説をします。
まだ問題を解いていない人は解いてから解説を読んでください。
大小2個のさいころを同時に投げる試行において
$A$ を「大きいさいころについて,4の目が出る」という事象
$B$ を「2個のさいころの出た目の和が7である」という事象
$C$ を「2個のさいころの出た目の和が9である」という事象
とする。
(1) 事象 $A,~B,~C$ の確率は,それぞれ
P(A)=\dfrac{\myBox{ア}}{\myBox{イ}}, P(B)=\dfrac{\myBox{ウ}}{\myBox{エ}}, P(C)=\dfrac{\myBox{オ}}{\myBox{カ}}
\end{align*}
(2) 事象 $C$ が起こったときの事象 $A$ が起こる条件付き確率は $\dfrac{\myBox{キ}}{\myBox{ク}}$ であり,
事象 $A$ が起こったときの事象 $C$ が起こる条件付き確率は $\dfrac{\myBox{ケ}}{\myBox{コ}}$ である。
(3) 次の $\mybox{サ}$, $\mybox{シ}$ に当てはまるものを,下の⓪~②のうちからそれぞれ一つ選べ。ただし,同じものを繰り返し選んでもよい。
&P(A\cap B)\myBox{サ}P(A)P(B) \\[4pt]
&P(A\cap C)\myBox{シ}P(A)P(C)
\end{align*}
(4) 大小2個のさいころを同時に投げる試行を2回繰り返す。1回目に事象 $A\cap B$ が起こり,2回目に事象 $\overline{A}\cap C$ が起こる確率は,$\dfrac{\myBox{ス}}{\myBox{セソタ}}$ である。三つの事象 $A,~B,~C$ がいずれもちょうど1回ずつ起こる確率は $\dfrac{\myBox{チ}}{\myBox{ツテ}}$ である。
(1)の解答
事象 $A$ の確率を求めよう。
大きいさいころは4の目が出て,小さいさいころはどの目が出ても良いから,求める確率は
P(A)=\dfrac{6}{6^2}=\dfrac{1}{6}
\end{align*}
2個のさいころの目の和が次の表のようになることを覚えておこう。
すぐに覚えられるはず。
この表を利用して,事象 $B,~C$ の確率を求めよう。
表の目の和が7と9の欄より
&P(B)=\dfrac{6}{6^2}=\dfrac{1}{6} \\[4pt]
&P(C)=\dfrac{4}{6^2}=\dfrac{1}{9}
\end{align*}
中学生なら1つ1つ確認することも重要であるが,大学受験であれば,この程度は覚えていて当然かもしれない。
(2)の解答
(2) 事象 $C$ が起こったときの事象 $A$ が起こる条件付き確率は $\dfrac{\myBox{キ}}{\myBox{ク}}$ であり,事象 $A$ が起こったときの事象 $C$ が起こる条件付き確率は $\dfrac{\myBox{ケ}}{\myBox{コ}}$ である。
次は条件付き確率を求める問題。
大きいさいころの目が4のとき,2個のさいころの目の和が9になるのは,小さいさいころの目が5のときのみだから,
事象 $C$ が起こったときの事象 $A$ が起こる条件付き確率は
P_C(A)=\dfrac{n(C\cap A)}{n(C)}=\dfrac{1}{4}
\end{align*}
事象 $A$ が起こったときの事象 $C$ が起こる条件付き確率は
P_A(C)=\dfrac{n(A\cap C)}{n(A)}=\dfrac{1}{6}
\end{align*}
(3)の解答
(3) 次の $\mybox{サ}$, $\mybox{シ}$ に当てはまるものを,下の⓪~②のうちからそれぞれ一つ選べ。ただし,同じものを繰り返し選んでもよい。
\begin{align*}⓪ $<$ ① $=$ ② $>$
&P(A\cap B)\myBox{サ}P(A)P(B) \\[4pt]
&P(A\cap C)\myBox{シ}P(A)P(C)
\end{align*}
実際に確率を求めて大小を比較しよう。
$P(A\cap B)=\dfrac{1}{36}$ であり,
P(A)P(B)=\dfrac{1}{6}\Cdota\dfrac{1}{6}=\dfrac{1}{36}
\end{align*}
$P(A\cap C)=\dfrac{1}{36}$ であり,
P(A)P(C)=\dfrac{1}{6}\Cdota\dfrac{1}{9}=\dfrac{1}{54}
\end{align*}
次のことも覚えておこう。
P(A\cap B)=P(A)P(B)
\end{align*}
今回の場合,2個のさいころを投げて出た目の和が7であるという事象と,大きいさいころの目が4であることは関係ないよね。
大きいさいころの目が1から6のどの目が出ようと,2個のさいころの目の和が7になることは等しい確率で起こり得るからね。
でも,2個のさいころの目の和が9になるためには,大きいさいころの目が3以上でなければ起こりえない。
つまり,2個のさいころの目の和が9である事象と大きいさいころの目が4である事象は独立しているとは言えない。
それでは次へ進もう。
(4)の解答
(4) 大小2個のさいころを同時に投げる試行を2回繰り返す。1回目に事象 $A\cap B$ が起こり,2回目に事象 $\overline{A}\cap C$ が起こる確率は,$\dfrac{\myBox{ス}}{\myBox{セソタ}}$ である。三つの事象 $A,B,C$ がいずれもちょうど1回ずつ起こる確率は $\dfrac{\myBox{チ}}{\myBox{ツテ}}$ である。
頑張って計算していこう。
$\overline{A}\cap C$ が起こるのは,
(大,小)=(3,~6),~(5,~4),~(6,~3)
\end{align*}
P(A\cap B)P(\overline{A}\cap C)=\dfrac{1}{36}\Cdota\dfrac{1}{12}=\dfrac{1}{432}
\end{align*}
問題文をしっかり読んで解こう。
事象 $B\cap C$ は起こらないから,3つの事象 $A,~B,~C$ がちょうど1回ずつ起こるのは,次の2つの場合がある。
(i) 2つの事象 $A\cap B$ と $\overline{A}\cap C$ が1回ずつ起こるとき
(ii) 2つの事象 $A\cap C$ と $\overline{A}\cap B$ が1回ずつ起こるとき
直前の問題の結果を利用すると,(i)のときの確率は
\dfrac{1}{432}\Cdota2=\dfrac{1}{216}
\end{align*}
また,$\overline{A}\cap B$ が起こるのは,
(大,小)=(1,~5),~(2,~5),~(3,~4),~(5,~2),~(6,~1)
\end{align*}
よって,(ii)のときの確率は
\dfrac{1}{36}\Cdota\dfrac{5}{36}\Cdota2=\dfrac{5}{648}
\end{align*}
\dfrac{1}{216}+\dfrac{5}{648}=\dfrac{8}{648}=\dfrac{1}{81}
\end{align*}
1回目と2回目に起こる事象が逆の場合を考えるのを忘れないようにしよう。
2018年 センター数学ⅠA 場合の数・確率を解いた感想
2個のさいころの目の和の場合の数の結果は有名なので覚えておくと得をする。
その他の問題は,丁寧に計算するだけなので,それほど難しい部分はないだろう。