2016年センター試験 数学ⅠA 第4問 整数の解説をします。
まだ問題を解いていない人は解いてから解説を読んでください。
92x+197y=1
\end{align*}
x=\myBox{アイ},~y=\myBox{ウエ}
\end{align*}
92x+197y=10
\end{align*}
x=\myBox{オカキ},~y=\myBox{クケ}
\end{align*}
(2) 2進法で $11011_{(2)}$ と表される数を4進法で表すと $\myBox{コサシ}_{(4)}$ である。
次の⓪~⑤の6進法の小数のうち,10進法で表すと有限小数として表せるのは,
$\myBox{ス}$, $\myBox{セ}$, $\myBox{ソ}$ である。ただし,解答の順序は問わない。
⓪ $0.3_{(6)}$ ① $0.4_{(6)}$
② $0.33_{(6)}$ ③ $0.43_{(6)}$
④ $0.333_{(6)}$ ⑤ $0.043_{(6)}$
(1)の解答
まずはユークリッドの互除法を利用して,特殊解を求めよう。
&197=92\times2+13 \cdots\cdots① \\[4pt]
&92=13\times7+1 \cdots\cdots②
\end{align*}
1&=92-13\times7 \\[4pt]
&=92-(197-92\times2)\times7 \\[4pt]
&=92\times15-197\times7
\end{align*}
この時点で $x$ の絶対値が最小のものが $x=15$ だと分かる人は,これを答えにしよう。$\myBox{アイ}=15$, $y=\myBox{ウエ}=-7$
ちゃんと一般解を求める場合は次のようにしよう。
&92x+197y=1 \\[4pt]
&92\Cdota15+197\Cdota(-7)=1
\end{align*}
92(x-15)+197(y+7)=0
\end{align*}
よって,整数 $k$ を用いて
&x-15=197k,~y+7=-92k \\[4pt]
&x=197k+15,~y=-92k-7
\end{align*}
一般解を求めれば,$x$ の絶対値が最小になるのは,$k=0$ のときだと,はっきり分かるね。
次はさっきの不定方程式と左辺が同じで右辺が10になっている。
$92\Cdot15+197\Cdot(-7)=1$ の両辺に10をかけると
92\Cdota150+197\Cdota(-70)=10
\end{align*}
x=197k+150,~y=-92k-70
\end{align*}
x=-47,~y=22
\end{align*}
(2)の解答
(2) 2進法で $11011_{(2)}$ と表される数を4進法で表すと $\myBox{コサシ}_{(4)}$ である。
次の⓪~⑤の6進法の小数のうち,10進法で表すと有限小数として表せるのは,
$\myBox{ス}$, $\myBox{セ}$, $\myBox{ソ}$ である。ただし,解答の順序は問わない。
⓪ $0.3_{(6)}$ ① $0.4_{(6)}$
② $0.33_{(6)}$ ③ $0.43_{(6)}$
④ $0.333_{(6)}$ ⑤ $0.043_{(6)}$
10進法を経由して4進法で表すと次のようになる。
2進法で $11011_{(2)}$ と表される数を10進法で表すと
11011_{(2)}&=2^4+2^3+2+1
\end{align*}
11011_{(2)}&=2^4+2^3+2+1 \\[4pt]
&=16+8+2+1 \\[4pt]
&=4^2+2\Cdota4+3 \\[4pt]
&=123_{(4)}
\end{align*}
$11011_{(2)}=27$ であるが,ここまで計算すると遅くなるため,微妙である。
次は10進法で表すと有限小数になるものを選ぶ問題。
順番に確認していこう。
0.3_{(6)}&=\dfrac{3}{6}=\dfrac{1}{2} \\[4pt]
0.4_{(6)}&=\dfrac{4}{6}=\dfrac{2}{3} \\[4pt]
0.33_{(6)}&=\dfrac{3}{6}+\dfrac{3}{6^2} \\[4pt]
&=\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{12}=\dfrac{7}{12} \\[4pt]
0.43_{(6)}&=\dfrac{4}{6}+\dfrac{3}{6^2} \\[4pt]
&=\dfrac{2}{3}+\dfrac{1}{12}=\dfrac{9}{12}=\dfrac{3}{4} \\[4pt]
0.033_{(6)}&=\dfrac{3}{6^2}+\dfrac{3}{6^3} \\[4pt]
&=\dfrac{1}{12}+\dfrac{1}{72}=\dfrac{7}{72} \\[4pt]
0.043_{(6)}&=\dfrac{4}{6^2}+\dfrac{3}{6^3} \\[4pt]
&=\dfrac{1}{9}+\dfrac{1}{72} \\[4pt]
&=\dfrac{9}{72}=\dfrac{1}{8}
\end{align*}
(1)の別解【合同式を利用】
合同式を用いて特殊解を求めることができるようにしておこう。
$92x+197y=1$ より
&92x+197y\equiv1\pmod{92} \\[4pt]
&197y\equiv1\pmod{92}
\end{align*}
13y\equiv1\pmod{92}
\end{align*}
y=92k-7
\end{align*}
&92x+197(92k-7)=1 \\[4pt]
&x=92k+15
\end{align*}
x=15,~y=-7
\end{align*}
2進法から4進法への変換
2進法から4進法へ変換する際,次のポイントを知っておくと素早く変換をすることができる。
今回の場合は次のようになる。
11011_{(2)}&=1\,|\,10\,|\,11 \\[4pt]
&=123_{(4)}
\end{align*}
このようにして変換できる理由を理解しておこう。
このようにして変換できる理由を一言で言うと $4=2^2$ だから。2進法で $00,~01,~10,~11$ はそれぞれ4進法で $0,~1,~2,~3$ である。また,2進法で2桁ずれると10進法では4倍されていることになり,4進法では1繰り上がることを意味する。
【例】
2進法で101から10100になることは,10進法では5から20になったことと同じであり,4進法では11から110になることと同じである。
原理を理解することで,小数でも同様な変換ができることが分かる。すなわち,小数点から右側へ2桁ずつ区切って変換すれば良い。
2016年 センター数学ⅠA 整数を解いた感想
不定方程式の特殊解の見つけ方や,定数項が1以外の数になったときの対処法を知っていれば,簡単に解ける問題だろう。
また,2進法から4進法への簡易変換方法を知っていれば,2016年のセンター試験では少しだけ時間を短縮することができる。
ただし,表面上の変換方法を覚えても,少し変えられると対応できないのでは意味がないため,しっかりと理解しておくことが重要である。