2004年センター試験 数学ⅡB 第1問 複素数平面の解説をします。
まだ問題を解いていない人は解いてから解説を読んでください。
(1) 複素数平面において1, $z$, $z^2$, $z^3$ の表す点をそれぞれ $\mathrm{A}_0$, $\mathrm{A}_1$, $\mathrm{A}_2$, $\mathrm{A}_3$とする。線分 $\mathrm{A}_0\mathrm{A}_1$ と線分 $\mathrm{A}_2\mathrm{A}_3$ が両端以外で交わる条件を求めよう。線分 $\mathrm{A}_0\mathrm{A}_1$ と線分 $\mathrm{A}_2\mathrm{A}_3$ が両端以外の点Bで交わるとする。点Bを表す複素数を $w$ とする。点Bが線分 $\mathrm{A}_0\mathrm{A}_1$ を $a:(1-a)$ に内分していれば
w=az+1-a
\end{align*}
したがって,$0<a<1$, $0<b<1$ より,線分 $\mathrm{A}_0\mathrm{A}_1$ と線分 $\mathrm{A}_2\mathrm{A}_3$ が両端以外で交わる条件は
(2) $z^4$ の表す点を $\mathrm{A}_4$ とする。$z$ が(1)の条件を満たすとき,すなわち, 線分 $\mathrm{A}_0\mathrm{A}_1$ と線分 $\mathrm{A}_2\mathrm{A}_3$ が両端以外で交わるとき, 線分 $\mathrm{A}_3\mathrm{A}_4$ と線分 $\mathrm{A}_1\mathrm{A}_2$ は両端以外で $\myBox{チ}$。 $\myBox{チ}$ に当てはまるものを, 次の⓪~②のうちから一つ選べ。
⓪ 必ず交わる
① 交わることはない
② 交わることも,交わらないこともある
(1)の解答
最初は等式を変形する問題だね。
1つの解を見つけよう。
$z=1$ のとき,両辺はともに1となり等式が成り立つことを利用する。
&bz^3+(1-b)z^2=az+1-a \\[4pt]
&bz^3+(1-b)z^2-az+a-1=0 \\[4pt]
&(z-1)(bz^2+z+1-a)=0
\end{align*}
今回の問題では,簡単に暗算で割り算をすることができるね。
次は $z$ が実数でない条件から進めよう。
$z$ が実数でないから,$z\neq1$ である。よって,$z$ は
bz^2+z+1-a=0
\end{align*}
解と係数の関係より
z+\overline{z}=-\dfrac{1}{b},~z\overline{z}=\dfrac{1-a}{b}
\end{align*}
この結果から $a$ と $b$ を $x$ と $y$ で表す問題。
まず,左辺を $x$ と $y$ で表そう。
$z+\overline{z}=2x$, $z\overline{z}=x^2+y^2$ であるから
\begin{cases}
2x=-\dfrac{1}{b} &~\cdots\cdots① \\[4pt]
x^2+y^2=\dfrac{1-a}{b} &\cdots\cdots②
\end{cases}
\end{align*}
②に代入して
&x^2+y^2=-2x(1-a) \\[4pt]
&a-1=\dfrac{x^2+y^2}{2x} \\[4pt]
&a=1+\dfrac{x^2+y^2}{2x}
\end{align*}
次は $a$ と $b$ の範囲から,$x$ と $y$ に関する条件を求める問題。
(2)の解答
(2) $z^4$ の表す点を $\mathrm{A}_4$ とする。$z$ が(1)の条件を満たすとき,すなわち, 線分 $\mathrm{A}_0\mathrm{A}_1$ と線分 $\mathrm{A}_2\mathrm{A}_3$ が両端以外で交わるとき, 線分 $\mathrm{A}_3\mathrm{A}_4$ と線分 $\mathrm{A}_1\mathrm{A}_2$ は両端以外で $\myBox{チ}$。 $\myBox{チ}$ に当てはまるものを, 次の⓪~②のうちから一つ選べ。
⓪ 必ず交わる
① 交わることはない
② 交わることも,交わらないこともある
次は線分 $\mathrm{A}_3\mathrm{A}_4$ と線分 $\mathrm{A}_1\mathrm{A}_2$ がどこで交わるかを考える問題。
次のように考えて解いても良い。
2004年 センター数学ⅡB 複素数平面を解いた感想
(1)については,丁寧な誘導があるため,何をすれば良いか分からないということはないだろう。
ただ,(1)の最後の $x$ と $y$ の条件を求める問題では,$x<0$ であることに注意しないと正しく求められない。
(2)は $z$ をかけることと複素数平面上での操作の関係を理解しているかどうかがポイントとなるだろう。