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三角関数の3倍角の公式に関連する入試問題【三重大・岐阜大】

三角関数の3倍角の公式と関連する入試問題 数学IAIIB
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【2015年 岐阜大】正接の3倍角の公式

2015年 岐阜大(1) $\alpha,~\beta$ を $\alpha$, $\beta\neq n\pi+\dfrac{\pi}{2}$ ($n$は整数)とする。$\alpha$, $\beta$ が $\tan\alpha\tan\beta=1$ を満たすとき,ある整数 $k$ があって,$\alpha+\beta=k\pi+\dfrac{\pi}{2}$ となることを示せ。
(2) $-\dfrac{\pi}{6}<x<\dfrac{\pi}{6}$ とし,$t=\tan x$ とおく。$\tan3x$ を $t$ の式で表せ。
(3) $c$ を実数とする。$-\dfrac{\pi}{6}<x<\dfrac{\pi}{6}$ のとき,2曲線 $y=c\tan x$ と $y=\tan3x$ の共有点の個数を求めよ。

まずは(1)を解いていきます。

【(1)の解答】
$\alpha,~\beta\neq n\pi+\dfrac{\pi}{2}$ で,$\tan\alpha\tan\beta=1$ のとき
\begin{align*}
&\dfrac{\sin\alpha}{\cos\alpha}\Cdot\dfrac{\sin\beta}{\cos\beta}=1 \\[4pt]
&\sin\alpha\sin\beta=\cos\alpha\cos\beta \\[4pt]
&\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta=0 \\[4pt]
&\cos(\alpha+\beta)=0
\end{align*}
よって,
\begin{align*}
\alpha+\beta=k\pi+\dfrac{\pi}{2}
\end{align*}
となる整数 $k$ が存在する。
ヒロ
ヒロ

次のことを覚えておこう。

存在証明「Aが存在することを示せ」と言われた場合は,具体的なAを見つけよう。1つでも条件を満たすAを見つけることができれば,Aが存在することを示したことになる。
ヒロ
ヒロ

(2)は正接の3倍角の公式の導出だね。

加法定理を利用するだけですね。

【(2)の解答】
\begin{align*}
\tan3x&=\tan(2x+x) \\[4pt]
&=\dfrac{\tan2x+\tan x}{1-\tan2x\tan x} \\[4pt]
&=\dfrac{\dfrac{2\tan x}{1-\tan^2x}+\tan x}{1-\dfrac{2\tan x}{1-\tan^2x}\Cdot\tan x} \\[4pt]
&=\dfrac{2\tan x+\tan x(1-\tan^2x)}{(1-\tan^2x)-2\tan^2x} \\[4pt]
&=\dfrac{3\tan x-\tan^3x}{1-3\tan^2x}
\end{align*}
$t=\tan x$ より
\begin{align*}
\tan3x=\dfrac{3t-t^3}{1-3t^2}
\end{align*}

(3)は $c$ の値によって,共有点の個数が変わるんだろうと予想できますね。

【(3)の解答】
$t=\tan x$とおくと,$-\dfrac{\pi}{6}<x<\dfrac{\pi}{6}$のとき,
$-\dfrac{1}{\sqrt3}<t<\dfrac{1}{\sqrt3}$であるから,連立方程式
\begin{align*}
\begin{cases}
y=ct \\[4pt]
y=\dfrac{3t-t^3}{1-3t^2}
\end{cases}~\cdots\cdots①
\end{align*}
の $-\dfrac{1}{\sqrt3}<t<\dfrac{1}{\sqrt3}$ を満たす解の個数を調べる。
①より,$y$を消去すると,
\begin{align*}
&ct=\dfrac{3t-t^3}{1-3t^2} \\[4pt]
&ct(1-3t^2)=3t-t^3 \\[4pt]
&t\{c(1-3t^2)-(3-t^2)\}=0 \\[4pt]
&t\{(3c-1)t^2-(c-3)\}=0 \\[4pt]
&t=0~\cdots\cdots②~または~(3c-1)t^2-(c-3)=0~\cdots\cdots③
\end{align*}
②より,$x=0$

ここまでで,$c$ の値によらず,①を満たす実数 $t$ が1個存在することが分かりました。あとは③の解を調べていきます。

【(3)の解答の続き】
次に,③の $t\neq0$ を満たす解の個数を調べる。
(i) $c=\dfrac13$ のとき
③は,$0t^2+\dfrac83=0$ となり,これを満たす実数 $t$ は存在しない。
(ii) $c\neq\dfrac13$ のとき
③より,$t^2=\dfrac{c-3}{3c-1}$
$-\dfrac{1}{\sqrt3}<t<\dfrac{1}{\sqrt3}$, $t\neq0$ だから,
\begin{align*}
0<\dfrac{c-3}{3c-1}<\dfrac13~\cdots\cdots④
\end{align*}
となるとき,③を満たす $t$ は2個存在する。1つの $t$ に対して,1つの $x$ が存在するから $x$ は2個存在する。④の左側より
\begin{align*}
&(c-3)(3c-1)>0 \\[4pt]
&c<\dfrac{1}{3},~3<c~\cdots\cdots⑤
\end{align*}
④の右側より
\begin{align*}
&\dfrac{c-3}{3c-1}-\dfrac{1}{3}<0 \\[4pt]
&\dfrac{-8}{3(3c-1)}<0 \\[4pt]
&3c-1>0 \\[4pt]
&c>\dfrac{1}{3}~\cdots\cdots⑥
\end{align*}
⑤かつ⑥より
\begin{align*}
c>3
\end{align*}
以上より,求める共有点の個数は
\begin{align*}
\begin{cases}
c>3~のとき &3個 \\[4pt]
c\leqq3~のとき &1個
\end{cases}
\end{align*}

$t^2$ の係数が $3c-1$ となっているから,0になるときと0でないときで場合分けしないといけないことに注意しないとダメですね。

ヒロ
ヒロ

そうだね。あと,$x$ の個数と $t$ の個数の対応もしっかり考えることができているのはいいね。

④を解くときに,辺々に $(3c-1)^2$ をかける方法が良いって聞いたことがあるんですけど,実際どうなんですか?

ヒロ
ヒロ

実際にその方法で④を解いてみようか。

はい,お願いします。

【分数式を含む不等式】
$0<\dfrac{c-3}{3c-1}<\dfrac13$ の辺々に $3(3c-1)^2~(>0)$ をかけると
\begin{align*}
&\begin{cases}
0<3(c-3)(3c-1)<(3c-1)^2 \\[4pt]
3c-1\neq0
\end{cases} \\[4pt]
&\begin{cases}
(c-3)(3c-1)>0 \\[4pt]
(3c-1)\{(3c-1)-3(c-3)\}>0 \\[4pt]
3c-1\neq0
\end{cases} \\[4pt]
&\begin{cases}
c<\dfrac13,~3<c \\[4pt]
8(3c-1)>0 \\[4pt]
3c-1\neq0
\end{cases} \\[4pt]
&c>3
\end{align*}

分数式じゃなくなるけど,分母が0でない条件をしっかり考えておかないといけないんですね。

ヒロ
ヒロ

今回はその条件を忘れてても影響がないけど,影響がある不等式もあるからね。安田亨先生はこの解き方は反対派で,最初の解法を推奨しているね。

そうなんですね。$\dfrac{g(x)}{f(x)}>0$ だったら,$f(x)$ と $g(x)$ が同符号っていうことだから,$f(x)g(x)>0$ に直せるから,最初の解法で良いかもしれないですね。

三角関数の3倍角の公式のまとめ

ヒロ
ヒロ

3倍角の公式を覚えるかどうかはどっちでも良いかもしれないけど,証明問題が出たときのために,加法定理から3倍角の公式を導けるようにしておこう。

三角関数の3倍角の公式
  1. $\displaystyle
    \cos3\theta=4\cos^3\theta-3\cos\theta
    $
  2. $\displaystyle
    \sin3\theta=3\sin \theta-4\sin^3\theta
    $
  3. $\displaystyle
    \tan3\theta=\dfrac{3\tan\theta-\tan^3\theta}{1-3\tan^2\theta}
    $
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