ここでは和の法則と積の法則について説明します。
落ち着いて考えれば「足すのか」「掛けるのか」の判断をできると思いますが,「足すのか掛けるのか分かりません」という質問が絶えることはありません。
深く考えることを放棄して,単に「このときは足す」とか「このときは掛ける」なんて覚えてしまっているのであれば,覚えているパターンから外れたときに「良く分からない・・・」となってしまうのでしょう。
しっかりと理解することで無駄な暗記から解放されます。
和の法則
例えば次の問題を考える。
目の和が3となる組み合わせの集合を $A$,目の和が5となる組み合わせの集合を $B$ とすると,求める場合の数は
$n(A\cup B)$ で表される。$n(A\cap B)=0$ であるから
n(A\cup B)=n(A)+n(B)
\end{align*}
ここで,1個のさいころを2回投げたときの目の和と場合の数の関係は次のようになる。
したがって,
n(A\cup B)&=n(A)+n(B) \\[4pt]
&=2+4 \\[4pt]
&=6~通り
\end{align*}
このように「1つ1つの場合分けに対して,それぞれの場合の数を加えることで全体の場合の数を求めることができる」のが和の法則。
積の法則
それでは次に積の法則について理解しよう。
具体的に書き出して考えてみよう。
十の位が1のとき,一の位は1, 2, 3の3通り(2桁の数は11, 12, 13の3つ)ある。
また,十の位が2のときも一の位は1, 2, 3の3通り(2桁の数は21, 22, 23の3つ)ある。
最後に十の位が3のときも一の位は1, 2, 3の3通り(2桁の数は31, 32, 33の3つ)ある。
和の法則を利用すると
3+3+3=9~通り
\end{align*}
和の法則を利用すれば,加えるだけだから,場合の数を求められる。
積の法則を利用すると,十の位が1, 2, 3の3通りあって,そのそれぞれに対して一の位も1, 2, 3の3通りあるから,$3\times3=9$ 通りとなる。
和の法則を使えば積の法則なんて要らないと思うが,これは使う数字が1, 2, 3の3つだから楽なんだ。
次のような問題ならどうだろう?
例えば十の位が1のとき,一の位は1~9の9通りある。
これが十の位が2になろうが,3になろうが,その数字に関係なく,一の位は常に9通りあることが分かる。
そして十の位も1~9の9通りあるのだから,全部で $9\times9=81$ 通りあることが分かる。
足し算で計算しても良いが,何回も同じ数字を足す計算を掛け算によって楽にできる。
これが積の法則を利用するメリットだね。
つまり,それぞれで場合分けしたときに,その場合分けに関係なく,それぞれの場合の数が等しければ積の法則で,全体の場合の数を求めることができる。
それぞれの場合分けに応じて,場合の数が異なるなら和の法則で足していくしかない。
これで和の法則と積の法則の違いを理解できることを期待しよう。
和の法則や積の法則を利用して場合の数を求める問題
それでは実際に定期テストで出題された問題を解いてみよう。
(1) 同じ数字を用いることはできない。
(2) 同じ数字を重複して用いてもよいとする。
(1) 百の位から順に考えていこう。
百の位の数字は1~6の6通り。(例えば百の位を1とする)
その各々に対して,十の位は百の位で使った数字以外の5通り。
(十の位は1以外だから2, 3, 4, 5, 6の5通り)
その各々に対して,一の位は百の位と十の位で使った2つの数字以外の4通り。
よって
6\times5\times4=120~通り
\end{align*}
6\times6\times6-216~通り
\end{align*}
$6^3=216$ は良く出てくる計算なので,覚えておくと良い。