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【数学IA】比例式と三角比

比例式と三角比 数学IAIIB
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三角形の最大角に関する問題

ヒロ
ヒロ

それでは三角形の最大角に関する問題を解いてみよう。

問題$\sankaku{ABC}$ において,次が成り立つとき,この三角形の最も大きい角の大きさを求めよ。
(1) $\dfrac{a}{13}=\dfrac{b}{8}=\dfrac{c}{7}$
(2) $\sin A:\sin B:\sin C=1:\sqrt{2}:\sqrt{5}$
ヒロ
ヒロ

最大角の大きさを求めるために,最大辺を特定しよう。

【(1)の考え方と解答】
与えられているのが比例式なので,$a,~b,~c$ を $k$ を用いて表そう。
0でない定数 $k$ を用いて
\begin{align*}
\dfrac{a}{13}=\dfrac{b}{8}=\dfrac{c}{7}=k
\end{align*}
とおくと
\begin{align*}
a=13k,~b=8k,~c=7k
\end{align*}
となる。
※分かりやすくするために $k$ と置いているが,次のように書いても良い。
「与えられた等式より,
\begin{align*}
a=13k,~b=8k,~c=7k~(k\neq0)
\end{align*}
と表せる。」
最大辺がBCであることが分かるから,その対角 $A$ が最大角である。三角形の3辺の比が分かっているということは,その三角形は1つには決まらないが「形」は決まることになる。辺の長さは $k$ によって定められ,例えば $k$ が2倍になれば,3辺の長さがすべて2倍になる。つまり,その2つの三角形は相似ということになる。したがって,三角形は1つには決まらないが,3つの内角の大きさは固定されていることになる。
ということは,サインやコサインなどの値も $k$ に関係ない定数ということになる。2組の向かい合った辺と角や外接円の半径などが分かっていれば正弦定理を利用することもできるが,今回はそのような条件が与えられていないため正弦定理を使うことはできない。
一方で,3辺の長さや3辺の長さの比が分かっていれば余弦定理を利用することでコサインの値を求めることができる。
したがって,余弦定理を利用して最大角 $A$ のコサインの値 $\cos A$ を求めることにする。
\begin{align*}
\cos A&=\dfrac{b^2+c^2-a^2}{2bc} \\[4pt]
&=\dfrac{(8k)^2+(7k)^2-(13k)^2}{2\Cdot8k\Cdot7k} \\[4pt]
&=\dfrac{-56k^2}{2\Cdot8\Cdot7k^2}=-\dfrac{1}{2}
\end{align*}
よって,求める最大の角の大きさは $A=120\Deg$ である。
ヒロ
ヒロ

分母を計算すると $112k^2$ となるが「どうせ約分できる」から「あえて計算していない」のが重要。

何故約分できると分かるんですか?

ヒロ
ヒロ

いま求めたいのは角の大きさで,コサインの値ではないね。

はい・・・

ヒロ
ヒロ

しかし直接角度を求めることができないため,仕方なく余弦定理を利用して $\cos A$ の値を求めている。

ヒロ
ヒロ

ということはコサインの値から角度を求めることができるはず。

ヒロ
ヒロ

つまり,角度が分かるようなコサインの値になるはずだね。※この考え方は重要

なるほど。約分できなくて $\dfrac{37}{112}$ とかになったら角度なんて求められないですね。

ヒロ
ヒロ

したがって,$\cos A$ は $\pm\dfrac{1}{2},~\pm\dfrac{1}{\sqrt{2}},~\pm\dfrac{\sqrt{3}}{2}$ になるだろうと予測が付く。

ヒロ
ヒロ

もう少しレベルが高いことを言うと,辺の長さの比が整数比であるから,コサインの値が有理数になることが確定する。また,最大角を聞かれていることを考えると,$\cos A$ は $-\dfrac{1}{2}$ になることが分かる。

$\dfrac{1}{2}$ の可能性はないんですか?

ヒロ
ヒロ

分子を計算すれば,分子が負であることが分かるから $-\dfrac{1}{2}$ になるだろうなと思っても良いよ。

分子を計算しなくても分かるんですか?

ヒロ
ヒロ

今回は「最大角」を聞かれているため,$\dfrac{1}{2}$ なら角度は60°になってしまう。最大角が60°なら,残り2つの角の和が120°で,どちらも60°以下だから,残り2つの角はともに60°であることが確定する。そうなると,この三角形は正三角形になってしまう。

ヒロ
ヒロ

しかし,3辺の長さの比が $1:1:1$ でないことから,そんなことはあり得ないと分かるね。

意味を考えずに計算するのではなく,色々考えて計算すると,その途中で計算結果を予測できるから,予想と違った結果になった時点で「計算を間違えたかも?」って思えるんですね!

ヒロ
ヒロ

そうだね。だからできる人ほど,計算間違いに気付きやすいのかもしれないね。

(2) $\sin A:\sin B:\sin C=1:\sqrt{2}:\sqrt{5}$

【(2)の考え方と解答】
(2)ではサインの値を含む比例式が与えられている。与えられているのがコサインの値なら,その値の大小関係から角の大小関係が分かるが,今回はサインの値が与えられているため,そううまくはいかない。
もう少し詳しく言っておくと,コサインは単位円周上の $x$ 座標を表すから,コサインの値で負のものがあれば,その角が最大角になる。コサインの値が正の場合,コサインの値が小さいほど角度が大きくなる。したがって,コサインの値から角の大小関係が分かるということ。
サインの値から角の大小関係は分からないが,正弦定理を利用することで三角形の3辺の大小関係は分かる。
$\sankaku{ABC}$ の外接円の半径を $R$ とすると,正弦定理より
\begin{align*}
\sin A=\dfrac{a}{2R},~\sin B=\dfrac{b}{2R},~\sin C=\dfrac{c}{2R}
\end{align*}
となるから,与えられた比例式より
\begin{align*}
&\dfrac{a}{2R}:\dfrac{b}{2R}:\dfrac{c}{2R}=1:\sqrt{2}:\sqrt{5} \\[4pt]
&a:b:c=1:\sqrt{2}:\sqrt{5}
\end{align*}
これで最大辺はABであることが分かる。よって,その対角である $C$ を求めれば良いことが分かる。
$a=k,~b=\sqrt{2}k,~c=\sqrt{5}k~(k\neq0)$ と表せるから,余弦定理より
\begin{align*}
\cos C&=\dfrac{k^2+(\sqrt{2}k)^2-(\sqrt{5}k)^2}{2\Cdot k\Cdot\sqrt{2}k} \\[4pt]
&=\dfrac{-2k^2}{2\sqrt{2}k^2}=-\dfrac{1}{\sqrt{2}}
\end{align*}
よって,求める最大の角の大きさは $C=135\Deg$ である。
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