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2直線の共有点と連立方程式
ヒロ
2直線の共有点と連立方程式の関係を説明する。
【2直線の共有点と連立方程式の関係】
2直線 $l,~m$ の方程式を
2直線 $l,~m$ の方程式を
\begin{align*}
&l:ax+by+c=0~\cdots\cdots① \\[4pt]
&m:px+qy+r=0~\cdots\cdots②
\end{align*}
とし,$l$ と $m$ は平行でなく,一致しない状態にあるとする。このとき,$l,~m$ は1点で交わり,その点をP$(X,~Y)$ とする。このとき,点Pは $l$ 上にあるから&l:ax+by+c=0~\cdots\cdots① \\[4pt]
&m:px+qy+r=0~\cdots\cdots②
\end{align*}
\begin{align*}
aX+bY+c=0
\end{align*}
が成り立つ。また,点Pは $m$ 上にもあるからaX+bY+c=0
\end{align*}
\begin{align*}
pX+qY+r=0
\end{align*}
も成り立つ。$x=X,~y=Y$ は①と②の両方をみたすから,$x=X,~y=Y$ は①と②の連立方程式の解である。pX+qY+r=0
\end{align*}
2直線の共有点と連立方程式に関する問題【日本福祉大】
2018年 日本福祉大$a$ を任意の実数とする2本の直線 $(a+2)x+y=a$,$3x+(a+4)y=-a$ がある。
(1) 2本の直線が共有点を持たないときの $a$ の値,2本の直線が一致する場合の $a$ の値を各々求めよ。
(2) 2本の直線が1点で交わるときの交点の座標を求めよ。
(1) 2本の直線が共有点を持たないときの $a$ の値,2本の直線が一致する場合の $a$ の値を各々求めよ。
(2) 2本の直線が1点で交わるときの交点の座標を求めよ。
【(1)の考え方と解答】
$l:(a+2)x+y=a~\cdots\cdots①$,$m:3x+(a+4)y=-a~\cdots\cdots②$ とする。
2直線が共有点をもたないのは,2直線が平行で一致しないときである。2直線の平行条件を考えて
$a=-1$ のとき,$l$ は $x+y=-1$ となる。$m$ は
$a=-5$ のとき,$l$ は
以上より,2直線が共有点をもたないときの $a$ の値は $a=-1$ であり,一致するときの $a$ の値は $a=-5$ である。
$l:(a+2)x+y=a~\cdots\cdots①$,$m:3x+(a+4)y=-a~\cdots\cdots②$ とする。
2直線が共有点をもたないのは,2直線が平行で一致しないときである。2直線の平行条件を考えて
\begin{align*}
&(a+2)(a+4)-1\Cdota3=0 \\[4pt]
&a^2+6a+5=0 \\[4pt]
&(a+1)(a+5)=0 \\[4pt]
&a=-1,~-5
\end{align*}
$a$ の値が2つ出てきたということは,おそらく,片方が「2直線が平行で一致しないとき」で,もう一方が「2直線が一致するとき」になっているのだろう。&(a+2)(a+4)-1\Cdota3=0 \\[4pt]
&a^2+6a+5=0 \\[4pt]
&(a+1)(a+5)=0 \\[4pt]
&a=-1,~-5
\end{align*}
$a=-1$ のとき,$l$ は $x+y=-1$ となる。$m$ は
\begin{align*}
&3x+3y=1 \\[4pt]
&x+y=\dfrac{1}{3}
\end{align*}
となる。このとき,2直線 $l,~m$ は共有点をもたない。&3x+3y=1 \\[4pt]
&x+y=\dfrac{1}{3}
\end{align*}
$a=-5$ のとき,$l$ は
\begin{align*}
&-3x+y=-5 \\[4pt]
&3x-y=5
\end{align*}
となる。$m$ も&-3x+y=-5 \\[4pt]
&3x-y=5
\end{align*}
\begin{align*}
3x-y=5
\end{align*}
となるから,2直線 $l,~m$ は一致する。3x-y=5
\end{align*}
以上より,2直線が共有点をもたないときの $a$ の値は $a=-1$ であり,一致するときの $a$ の値は $a=-5$ である。
(2) 2本の直線が1点で交わるときの交点の座標を求めよ。
【(2)の考え方と解答】
2直線が1点で交わるときは,2直線が平行でないときである。(1)の結果から,$a\neq-1,~-5$ として,連立方程式を解けば良いことが分かる。
①と②から $x$ か $y$ を消去することを考える。例えば①から $x$ を消去するために「$x=\cdots$」と変形すると
しかし,そもそも分母に文字が現れるように変形するから,変なことになるわけで,可能であれば分母に文字がこないように変形した方が良い。
今回の場合,$x$ を消去するなら,②を変形して
基本的に係数が分数でない方が,計算が楽になるだろうから,この問題では $y$ を消去した方が良いだろう。ということで $①’$ を②に代入すると
②より
2直線が1点で交わるときは,2直線が平行でないときである。(1)の結果から,$a\neq-1,~-5$ として,連立方程式を解けば良いことが分かる。
①と②から $x$ か $y$ を消去することを考える。例えば①から $x$ を消去するために「$x=\cdots$」と変形すると
\begin{align*}
x=-\dfrac{1}{a+2}y+\dfrac{a}{a+2}
\end{align*}
となるが,$a=-2$ のときは係数の分母が0になるため,係数が定義されない。したがって,「$a\neq-2$ のとき」という断りなしで,この式を書くことを避けた方が良い。x=-\dfrac{1}{a+2}y+\dfrac{a}{a+2}
\end{align*}
しかし,そもそも分母に文字が現れるように変形するから,変なことになるわけで,可能であれば分母に文字がこないように変形した方が良い。
今回の場合,$x$ を消去するなら,②を変形して
\begin{align*}
x=-\dfrac{a+4}{3}y-\dfrac{a}{3}
\end{align*}
として①に代入すれば良い。また,$y$ を消去するなら,①を変形してx=-\dfrac{a+4}{3}y-\dfrac{a}{3}
\end{align*}
\begin{align*}
y=-(a+2)x+a~\cdots\cdots①’
\end{align*}
として②に代入すれば良い。あとはどちらが計算が楽そうかということを考える。y=-(a+2)x+a~\cdots\cdots①’
\end{align*}
基本的に係数が分数でない方が,計算が楽になるだろうから,この問題では $y$ を消去した方が良いだろう。ということで $①’$ を②に代入すると
\begin{align*}
&3x+(a+4)\{-(a+2)x+a\}=-a \\[4pt]
&(a^2+6a+5)x-a(a+5)=0 \\[4pt]
&(a+1)(a+5)x-a(a+5)=0 \\[4pt]
&(a+5)\{(a+1)x-a\}=0
\end{align*}
$a\neq-5$ であるから&3x+(a+4)\{-(a+2)x+a\}=-a \\[4pt]
&(a^2+6a+5)x-a(a+5)=0 \\[4pt]
&(a+1)(a+5)x-a(a+5)=0 \\[4pt]
&(a+5)\{(a+1)x-a\}=0
\end{align*}
\begin{align*}
(a+1)x-a=0
\end{align*}
$a\neq-1$ であるから,$x=\dfrac{a}{a+1}$(a+1)x-a=0
\end{align*}
②より
\begin{align*}
y&=-(a+2)\Cdota\dfrac{a}{a+1}+a \\[4pt]
&=\dfrac{a\{-(a+2)+(a+1)\}}{a+1} \\[4pt]
&=-\dfrac{a}{a+1}
\end{align*}
よって,求める交点の座標は $\left(\dfrac{a}{a+1},~-\dfrac{a}{a+1}\right)$ である。y&=-(a+2)\Cdota\dfrac{a}{a+1}+a \\[4pt]
&=\dfrac{a\{-(a+2)+(a+1)\}}{a+1} \\[4pt]
&=-\dfrac{a}{a+1}
\end{align*}