引き続き,方程式の整数解を求める方法について説明します。
方程式の整数解 -積が一定-【広島工業大・東京理科大・富山大】
方程式と聞くと「1次方程式」「連立方程式」「2次方程式」などを思い浮かべるでしょう。 そのどれもが,1つの方程式が1つの変数を含むか,変数の個数と方程式の本数が一致しています。 ここでは,色々ある方程式のうち,1つの方程式が複数の変数を含む...
方程式の整数解 -絞り込み-【兵庫医科大・有名問題】
前回に引き続き,方程式の整数解を求める方法について説明します。 成り立つべき不等式を利用することで,文字の取り得る値の範囲を絞り込むことで,調べる整数の個数を減らすことを考えます。 様々な問題を解くことで,解法を知って,解ける問題を増やして...
様々な問題を解くことで,解法を知って,解ける問題を増やしていきましょう。
分数式が整数となる条件に関する問題
2011年 帝京大$n$ を $n\neq-3$ である整数とする。このとき,式 $\dfrac{n^3+45}{n+3}$ の値が整数となるような整数 $n$ は $\myhako$ 個あり,それらのうち,最大の整数 $n$ は $\myhako$ である。
【考え方と解答】
分数式を見たときは「部分分数分解を速くする方法とは?」で説明している「分数式の変形の原則」を思い出そう。
数学IIの多項式の除法を理解している人は $(n^3+45)\div(n+3)$ を計算することで,分子の次数を下げよう。
したがって,求める $n$ の個数は12であり,最大のものは
分数式を見たときは「部分分数分解を速くする方法とは?」で説明している「分数式の変形の原則」を思い出そう。
数学IIの多項式の除法を理解している人は $(n^3+45)\div(n+3)$ を計算することで,分子の次数を下げよう。
\begin{align*}
\dfrac{n^3+45}{n+3}=n^2-3n+9+\dfrac{18}{n+3}
\end{align*}
多項式の除法を知らない人は3乗の展開公式を利用しよう。\dfrac{n^3+45}{n+3}=n^2-3n+9+\dfrac{18}{n+3}
\end{align*}
\begin{align*}
\dfrac{n^3+45}{n+3}&=\dfrac{(n^3+27)+18}{n+3} \\[4pt]
&=\dfrac{(n+3)(n^2-3n+9)+18}{n+3} \\[4pt]
&=n^2-3n+9+\dfrac{18}{n+3}
\end{align*}
$n$ は整数であるから,$n^2-3n+9$ は整数である。したがって,$\dfrac{n^3+45}{n+3}$ が整数となるのは,$n+3$ が18の約数になるときである。よって\dfrac{n^3+45}{n+3}&=\dfrac{(n^3+27)+18}{n+3} \\[4pt]
&=\dfrac{(n+3)(n^2-3n+9)+18}{n+3} \\[4pt]
&=n^2-3n+9+\dfrac{18}{n+3}
\end{align*}
\begin{align*}
n+3=\pm1,~\pm2,~\pm3,~\pm6,~\pm9,~\pm18
\end{align*}
のとき,$\dfrac{n^3+45}{n+3}$ が整数となる。n+3=\pm1,~\pm2,~\pm3,~\pm6,~\pm9,~\pm18
\end{align*}
したがって,求める $n$ の個数は12であり,最大のものは
\begin{align*}
&n+3=18 \\[4pt]
&n=15
\end{align*}
&n+3=18 \\[4pt]
&n=15
\end{align*}
方程式の整数解を求める問題
2007年 自治医科大$n$ を自然数とするとき,$\dfrac{4n+1}{2n-1}$ は整数値 $a$ をとるものとする。$a$ の最大値を求めよ。
【考え方と解答】
分子の次数を下げよう。
分子の次数を下げよう。
\begin{align*}
\dfrac{4n+1}{2n-1}=2+\dfrac{3}{2n-1}
\end{align*}
$\dfrac{4n+1}{2n-1}$ が整数になるのは $\dfrac{3}{2n-1}$ が整数になるとき,すなわち,$2n-1$ が3の約数のときである。よって\dfrac{4n+1}{2n-1}=2+\dfrac{3}{2n-1}
\end{align*}
\begin{align*}
2n=1=\pm1,~\pm3
\end{align*}
のとき,$\dfrac{4n+1}{2n-1}$ が整数になる。このうち,最大の整数になるのは $\dfrac{3}{2n-1}$ が最大の整数になるときであるから2n=1=\pm1,~\pm3
\end{align*}
\begin{align*}
&2n-1=1 \\[4pt]
&n=1
\end{align*}
このときの整数値 $a$ は&2n-1=1 \\[4pt]
&n=1
\end{align*}
\begin{align*}
a=\dfrac{4+1}{1}=5
\end{align*}
a=\dfrac{4+1}{1}=5
\end{align*}
方程式の整数解を求める問題2
2018年 東北大次の方程式を満たす整数 $x,~y$ の組 $(x,~y)$ をすべて求めよ。
\begin{align*}
x^3+x^2-xy+x+y+4=0
\end{align*}
x^3+x^2-xy+x+y+4=0
\end{align*}
【考え方と解答】
$x$ については3次式で,$y$ については1次式だから,$y$ について整理しよう。
$x=1$ のとき,$0y=7$ となるから,方程式を満たす $y$ は存在しない。よって,$x\neq1$ である。このとき
$x$ については3次式で,$y$ については1次式だから,$y$ について整理しよう。
\begin{align*}
&x^3+x^2-xy+x+y+4=0 \\[4pt]
&(x-1)y=x^3+x^2+x+4
\end{align*}
$x-1$ で割る前に $x=1$ のときを調べよう。&x^3+x^2-xy+x+y+4=0 \\[4pt]
&(x-1)y=x^3+x^2+x+4
\end{align*}
$x=1$ のとき,$0y=7$ となるから,方程式を満たす $y$ は存在しない。よって,$x\neq1$ である。このとき
\begin{align*}
y&=\dfrac{x^3+x^2+x+4}{x-1} \\[4pt]
&=x^2+2x+3+\dfrac{7}{x-1}~\cdots\cdots①
\end{align*}
$x$ が整数のとき,$x^2+2x+3$ は整数であるから,$\dfrac{x^3+x^2+x+4}{x-1}$ が整数になるのは $x-1$ が7の約数のときである。したがってy&=\dfrac{x^3+x^2+x+4}{x-1} \\[4pt]
&=x^2+2x+3+\dfrac{7}{x-1}~\cdots\cdots①
\end{align*}
\begin{align*}
&x-1=\pm1,~\pm7 \\[4pt]
&x=-6,~0,~2,~8
\end{align*}
これらの値を①に代入して&x-1=\pm1,~\pm7 \\[4pt]
&x=-6,~0,~2,~8
\end{align*}
\begin{align*}
(x,~y)=(-6,~26),~(0,~-4),~(2,~18),~(8,~84)
\end{align*}
(x,~y)=(-6,~26),~(0,~-4),~(2,~18),~(8,~84)
\end{align*}