ここでは集合の包含関係について説明します。
ある集合が他の集合に含まれる場合もありますね。
例えば「人間」という集合を考えたときには「哺乳類」という集合に含まれます。
また「哺乳類」という集合は「脊椎動物」という集合に含まれます。
このように集合全体が他の集合に含まれることがあります。
複数の集合の包含関係の表し方について学んでいきましょう。
集合の包含関係
ヒロ
集合の包含関係の表し方を知っておこう。
集合の包含関係2つの集合 $A,~B$ に対して,$A$が $B$ を含むことを
$B$ に属する要素のうち1つでも $A$ に属していない場合は「$A$ が $B$ を含む」とは言えない。ほとんど使う機会はないが,$A$ が $B$ を含まないことを
\begin{align*}
A\supset B,~B\subset A
\end{align*}
と表す。このとき集合 $B$ に属するすべての要素が集合 $A$ に属している。A\supset B,~B\subset A
\end{align*}
$B$ に属する要素のうち1つでも $A$ に属していない場合は「$A$ が $B$ を含む」とは言えない。ほとんど使う機会はないが,$A$ が $B$ を含まないことを
\begin{align*}
A\nsupseteq B,~B\nsubseteq A
\end{align*}
と表す。A\nsupseteq B,~B\nsubseteq A
\end{align*}
集合の一致
ヒロ
2つの集合が一致するときの表し方を知っておこう。
集合の一致2つの集合 $A,~B$ の要素が完全に一致しているとき,$A$ と $B$ は等しいといい,$A=B$ と表す。
集合の包含関係に関する問題
ヒロ
実際に定期テストで出題された問題を解いてみよう。
問題$U=\{x\mid x~は10以下の自然数\}$ とする。次の集合 $A,~B$ に包含関係 $(A\supset B,~A\subset B,~A=B)$ があれば,それをいえ。
(1) $A=\{x\mid x\in U,~x~は奇数\}$,$B=\{x\mid x\in U,~x~は素数\}$
(2) $A=\{x\mid x\in U,~3(x-2)>8\}$,$B=\{x\mid x\in U,~\abs{x-7}<3\}$
(1) $A=\{x\mid x\in U,~x~は奇数\}$,$B=\{x\mid x\in U,~x~は素数\}$
(2) $A=\{x\mid x\in U,~3(x-2)>8\}$,$B=\{x\mid x\in U,~\abs{x-7}<3\}$
ヒロ
(1)も(2)も要素がどうなっているかを調べよう。
【(1)の考え方と解答】
$A,~B$ を要素を書き並べて表すと次のようになる。
$A,~B$ を要素を書き並べて表すと次のようになる。
\begin{align*} &A=\{1,~3,~5,~7,~9\} \\[4pt] &B=\{2,~3,~5,~7\} \end{align*}
一方の集合が他方に含まれることはないから,包含関係はない。【(2)の考え方と解答】
$3(x-2)>8$ より
$3(x-2)>8$ より
\begin{align*} &x-2>\dfrac{8}{3} \\[4pt] &x>\dfrac{14}{3} \end{align*}
$x\leqq10$ との共通部分を考えて $\dfrac{14}{3}<x\leqq10$
したがって
\begin{align*} A=\{5,~6,~7,~8,~9,~10\} \end{align*}
また $\abs{x-7}<3$ より \begin{align*} &-3<x-7<3 \\[4pt] &4<x<10 \end{align*}
よって \begin{align*} B=\{5,~6,~7,~8,~9\} \end{align*}
集合 $A$ が集合 $B$ を含むことが分かるから,$A\supset B$部分集合と空集合
ヒロ
次に部分集合について説明するよ。
部分集合集合 $A$ が集合 $B$ に含まれるとき,すなわち $A\subset B$ と表されるとき,集合 $A$ を集合 $B$ の部分集合という。
【部分集合の例】
5以下の自然数全体の集合を $A$ とすると
このとき集合 $\{1\}$ は集合 $A$ の部分集合であると言う。
【部分集合の例】
5以下の自然数全体の集合を $A$ とすると
\begin{align*}
A=\{1,~2,~3,~4,~5\}
\end{align*}
となる。ここで1のみを要素にもつ集合 $\{1\}$ は集合 $A$ に含まれるから $\{1\}\subset A$ と表される。A=\{1,~2,~3,~4,~5\}
\end{align*}
このとき集合 $\{1\}$ は集合 $A$ の部分集合であると言う。
ということは $\{2,~5\}$ も集合 $A$ の部分集合ということですか?
ヒロ
そうだね。
ヒロ
次に,要素を1つももたない集合を知っておこう。
空集合要素を1つももたない集合を空集合(くうしゅうごう)といい,$\emptyset$ で表す。
ちなみに $\phi$ はギリシャ文字のファイという。
また次の2つのことも覚えておこう。
ちなみに $\phi$ はギリシャ文字のファイという。
また次の2つのことも覚えておこう。
- 空集合はすべての集合の部分集合である。
- 自分自身も部分集合である。(集合 $A$ 自体も集合 $A$ の部分集合ということ)
部分集合を求める問題
ヒロ
実際に定期テストで出題された問題に挑戦してみよう。
問題集合 $\{0,~1,~2\}$ の部分集合をすべて書け。
ヒロ
落ち着けばちゃんと書けるはず。
【考え方と解答】
要素の個数で分類して1つずつ考えていこう。
要素が1つもないもの,すなわち空集合 $\emptyset$ が部分集合の1つとなる。
要素が1つのものは
要素の個数で分類して1つずつ考えていこう。
要素が1つもないもの,すなわち空集合 $\emptyset$ が部分集合の1つとなる。
要素が1つのものは
\begin{align*}
\{0\},~\{1\},~\{2\}
\end{align*}
要素が2つのものは\{0\},~\{1\},~\{2\}
\end{align*}
\begin{align*}
\{0,~1\},~\{0,~2\},~\{1,~2\}
\end{align*}
要素が3つのものは自分自身で\{0,~1\},~\{0,~2\},~\{1,~2\}
\end{align*}
\begin{align*}
\{0,~1,~2\}
\end{align*}
よって,求める部分集合は\{0,~1,~2\}
\end{align*}
\begin{align*}
\emptyset,~\{0\},~\{1\},~\{2\},~\{0,~1\},~\{0,~2\},~\{1,~2\},~\{0,~1,~2\}
\end{align*}
\emptyset,~\{0\},~\{1\},~\{2\},~\{0,~1\},~\{0,~2\},~\{1,~2\},~\{0,~1,~2\}
\end{align*}
ヒロ
この問題の部分集合は全部で8個あったが,要素の個数が決まれば部分集合の個数も1つに決まる。
部分集合の個数要素の個数が $n$ 個のとき,部分集合は全部で $2^n$ 個ある。
ヒロ
詳しいことは場合の数の単元で説明するので,いまは省略する。
ヒロ
ちなみに定期テストで出題されたもので,要素の個数が最も多かったものは5個。
要素が5個あるっていうことは,全部で $2^5=32$ 個あるってことですよね?
ヒロ
大変だね。
書くのも大変だけど,見る先生も大変ですね・・・
ヒロ
とりあえず僕には無理だね・・・そんな採点やってられない(笑)
出たときは頑張って書くしかないですね。
ヒロ
頑張ってくれ。