2016年センター試験 数学ⅠA 第3問 場合の数・確率の解説をします。
まだ問題を解いていない人は解いてから解説を読んでください。
(1) AさんとBさんが取り出した2個の球のなかに,赤球か青球が少なくとも1個含まれている確率は $\dfrac{\myBox{アイ}}{\myBox{ウエ}}$ である。
(2) Aさんが赤球を取り出し,かつBさんが白球を取り出す確率は $\dfrac{\myBox{オ}}{\myBox{カキ}}$ である。これより,Aさんが取り出した球が赤球であったとき,Bさんが取り出した球が白球である条件付き確率は $\dfrac{\myBox{ク}}{\myBox{ケコ}}$ である。
(3) Aさんは1球取り出したのち,その色を見ずにポケットの中にしまった。Bさんが取り出した球が白球であることがわかったとき,Aさんが取り出した球も白球であった条件付き確率を求めたい。
Aさんが赤球を取り出し,かつBさんが白球を取り出す確率は $\dfrac{\mybox{オ}}{\mybox{カキ}}$ であり,Aさんが青球を取り出し,かつBさんが白球を取り出す確率は $\dfrac{\myBox{サ}}{\myBox{シス}}$ である。同様に,Aさんが白球を取り出し,かつBさんが白球を取り出す確率を求めることができ,これらの事象は互いに排反であるから,Bさんが白球を取り出す確率は $\dfrac{\myBox{セ}}{\myBox{ソタ}}$ である。
よって,求める条件付き確率は $\dfrac{\myBox{チ}}{\myBox{ツテ}}$ である。
(1)の解答
Aさんが袋から1個の球を取り出した後,元に戻さないことに注意して確率を計算しよう。
AさんとBさんが取り出した2個の球のなかに,赤球も青球も含まれていない場合を考える。
このとき,AさんもBさんも白球を取り出すから,その確率は
\dfrac{5}{12}\Cdota\dfrac{4}{11}=\dfrac{5}{33}
\end{align*}
1-\dfrac{5}{33}=\dfrac{28}{33}
\end{align*}
(2)の解答
(2) Aさんが赤球を取り出し,かつBさんが白球を取り出す確率は $\dfrac{\myBox{オ}}{\myBox{カキ}}$ である。これより,Aさんが取り出した球が赤球であったとき,Bさんが取り出した球が白球である条件付き確率は $\dfrac{\myBox{ク}}{\myBox{ケコ}}$ である。
次は問題文を読み間違えないようにして確率を求めよう。
Aさんが赤球を取り出し,かつBさんが白球を取り出す確率は
\dfrac{4}{12}\Cdota\dfrac{5}{11}=\dfrac{5}{33}
\end{align*}
次は条件付き確率を求める問題。
P_{A_{\mathrm{r}}}(B_{\mathrm{w}})=\dfrac{P(A_{\mathrm{r}}\cap B_{\mathrm{w}})}{P(A_{\mathrm{r}})}
\end{align*}
P(A_{\mathrm{r}}\cap B_{\mathrm{w}})=\dfrac{5}{33},~P(A)=\dfrac{4}{12}=\dfrac{1}{3}
\end{align*}
P_{A_{\mathrm{r}}}(B_{\mathrm{w}})=\dfrac{\dfrac{5}{33}}{\dfrac{1}{3}}=\dfrac{5}{11}
\end{align*}
(3)の解答
(3) Aさんは1球取り出したのち,その色を見ずにポケットの中にしまった。Bさんが取り出した球が白球であることがわかったとき,Aさんが取り出した球も白球であった条件付き確率を求めたい。
Aさんが赤球を取り出し,かつBさんが白球を取り出す確率は $\dfrac{\mybox{オ}}{\mybox{カキ}}$ であり,Aさんが青球を取り出し,かつBさんが白球を取り出す確率は $\dfrac{\myBox{サ}}{\myBox{シス}}$ である。同様に,Aさんが白球を取り出し,かつBさんが白球を取り出す確率を求めることができ,これらの事象は互いに排反であるから,Bさんが白球を取り出す確率は $\dfrac{\myBox{セ}}{\myBox{ソタ}}$ である。
よって,求める条件付き確率は $\dfrac{\myBox{チ}}{\myBox{ツテ}}$ である。
「取り出した球の色を見ろよ!」と言いたくなるのを我慢して,条件付き確率を求めよう。
誘導があるので,その通りに考えていけば大丈夫なはず。
Aさんが青球を取り出し,かつBさんが白球を取り出す確率は
\dfrac{3}{12}\Cdota\dfrac{5}{11}=\dfrac{5}{44}
\end{align*}
Bさんが白球を取り出す確率を求めよう。
Aさんが白球を取り出し,かつBさんが白球を取り出す確率は(1)で求めた通り,$\dfrac{5}{33}$ である。
Bさんが白球を取るとき,Aさんが取る球は赤球・青球・白球の3つの場合があるから,その確率は
\dfrac{5}{33}+\dfrac{5}{44}+\dfrac{5}{33}&=\dfrac{20+15+20}{12\Cdota11} \\[4pt]
&=\dfrac{55}{12\Cdota11}=\dfrac{5}{12}
\end{align*}
真面目に計算すると,上のようになるが,実は計算しなくても,Bさんが白球を取り出す確率が $\dfrac{5}{12}$ であることは分かる。
つまり「くじ引きの等確率性」を知っているかどうかがポイントとなる。
今回の問題では,Aさんが白球を取り出す確率と,Aさんのあとに続いて,Bさんが白球を取り出す確率は等しい。
このことを理解していると,$P(B_{\mathrm{w}})=\dfrac{5}{12}$ であることが一瞬で分かるため,時間短縮に繋がる。
時間に余裕がある人は,上で計算したように,具体的に確率を求めることで,他の計算が正しいことを確認することにもつながる。
最後の条件付き確率を求めよう。
P_{B_{\mathrm{w}}}(A_{\mathrm{w}})=\dfrac{P(B_{\mathrm{w}}\cap A_{\mathrm{w}})}{P(B_{\mathrm{w}})}
\end{align*}
P(B_{\mathrm{w}}\cap A_{\mathrm{w}})=\dfrac{5}{33},~P(B_{\mathrm{w}})=\dfrac{5}{12}
\end{align*}
P_{B_{\mathrm{w}}}(A_{\mathrm{w}})=\dfrac{\dfrac{5}{33}}{\dfrac{5}{12}}=\dfrac{4}{11}
\end{align*}
2016年 センター数学ⅠA 場合の数・確率を解いた感想
「少なくとも」と来れば余事象を考えることで計算量を減らすことができる。
丁寧に誘導されているため,それほど苦労することもなくスムーズに解けるだろう。