2001年センター試験 数学ⅡB 第1問 複素数平面の解説をします。
まだ問題を解いていない人は解いてから解説を読んでください。
2001年 センターⅡB 第1問 複素数平面(1) 方程式
複素数 $2+2i$ を極形式で表すと
したがって,複素数平面上の第2象限にある①の解は
(2) 次に方程式
②は $(z^3-2)^2=-\myBox{シ}$,すなわち
注 この問題において,複素数平面の象限とは,実軸を $x$ 軸,虚軸を $y$ 軸とした座標平面における象限のことをいう。
\begin{align*}
z^3=2+2i~\cdots\cdots①
\end{align*}
を解こう。z^3=2+2i~\cdots\cdots①
\end{align*}
複素数 $2+2i$ を極形式で表すと
\begin{align*}
2+2i=\myBox{ア}\sqrt{\myBox{イ}}\left(\cos\myBox{ウエ}\Deg+i\sin\mybox{ウエ}\Deg\right)
\end{align*}
となる。2+2i=\myBox{ア}\sqrt{\myBox{イ}}\left(\cos\myBox{ウエ}\Deg+i\sin\mybox{ウエ}\Deg\right)
\end{align*}
\begin{align*}
z=r(\cos\theta+i\sin\theta)
\end{align*}
とおき,①を満たす $r$, $\theta$ ($r>0$, $0\Deg\leqq\theta<360\Deg$)を求めるとz=r(\cos\theta+i\sin\theta)
\end{align*}
\begin{align*}
&r=\sqrt{\myBox{オ}} \\[4pt]
&\theta=\myBox{カキ}\Deg,~\myBox{クケコ}\Deg,~255\Deg
\end{align*}
となる。&r=\sqrt{\myBox{オ}} \\[4pt]
&\theta=\myBox{カキ}\Deg,~\myBox{クケコ}\Deg,~255\Deg
\end{align*}
したがって,複素数平面上の第2象限にある①の解は
\begin{align*}
-\myBox{サ}+i
\end{align*}
である。-\myBox{サ}+i
\end{align*}
(2) 次に方程式
\begin{align*}
z^6-4z^3+8=0~\cdots\cdots②
\end{align*}
の解について考えよう。z^6-4z^3+8=0~\cdots\cdots②
\end{align*}
②は $(z^3-2)^2=-\myBox{シ}$,すなわち
\begin{align*}
z^3=2\pm\myBox{ス}\,i
\end{align*}
となるから,(1)と同様に考えると,第2象限にある②の解は(1)で求めたz^3=2\pm\myBox{ス}\,i
\end{align*}
\begin{align*}
-\mybox{サ}+i
\end{align*}
と-\mybox{サ}+i
\end{align*}
\begin{align*}
\dfrac{\myBox{セ}-\sqrt{\myBox{ソ}}}{\myBox{タ}}+\dfrac{\myBox{チ}+\sqrt{\myBox{ツ}}}{\myBox{テ}}i
\end{align*}
の2個であり,他の解は第1象限に1個,第3象限に $\myBox{ト}$ 個,第4象限に $\myBox{ナ}$ 個存在する。\dfrac{\myBox{セ}-\sqrt{\myBox{ソ}}}{\myBox{タ}}+\dfrac{\myBox{チ}+\sqrt{\myBox{ツ}}}{\myBox{テ}}i
\end{align*}
注 この問題において,複素数平面の象限とは,実軸を $x$ 軸,虚軸を $y$ 軸とした座標平面における象限のことをいう。
(1)の解答
ヒロ
まずは極形式に変形する問題。絶対値でくくって変形すれば良いね。
【ア~エの解答】
\begin{align*}
2+2i&=2\sqrt{2}\left(\dfrac{1}{\sqrt{2}}+\dfrac{1}{\sqrt{2}}i\right) \\[4pt]
&=2\sqrt{2}(\cos45\Deg+i\sin45\Deg)
\end{align*}
2+2i&=2\sqrt{2}\left(\dfrac{1}{\sqrt{2}}+\dfrac{1}{\sqrt{2}}i\right) \\[4pt]
&=2\sqrt{2}(\cos45\Deg+i\sin45\Deg)
\end{align*}
ヒロ
複素数を含む3次方程式を解く問題では,極形式を利用するのが基本なので,誘導通りに進めていこう。
【オ~コの解答】
$z=r(\cos\theta+i\sin\theta)$ とおくと,①より
また,$3\theta=45\Deg,~405\Deg,~765\Deg$ より
$z=r(\cos\theta+i\sin\theta)$ とおくと,①より
\begin{align*}
r^3(\cos3\theta+i\sin3\theta)=2\sqrt{2}(\cos45\Deg+i\sin45\Deg)
\end{align*}
よって,r^3(\cos3\theta+i\sin3\theta)=2\sqrt{2}(\cos45\Deg+i\sin45\Deg)
\end{align*}
\begin{align*}
\begin{cases}
r^3=2\sqrt{2} \\[4pt]
3\theta=45\Deg+360\Deg\times k~(k=1,~2,~3)
\end{cases}
\end{align*}
$r^3=2\sqrt{2}$ より,$r=\sqrt{2}$\begin{cases}
r^3=2\sqrt{2} \\[4pt]
3\theta=45\Deg+360\Deg\times k~(k=1,~2,~3)
\end{cases}
\end{align*}
また,$3\theta=45\Deg,~405\Deg,~765\Deg$ より
\begin{align*}
\theta=15\Deg,~135\Deg,~255\Deg
\end{align*}
\theta=15\Deg,~135\Deg,~255\Deg
\end{align*}
ヒロ
次は第2象限の意味が分かっていれば簡単だね。
【サの解答】
第2象限にあるのは,偏角が $135\Deg$ のときであるから
第2象限にあるのは,偏角が $135\Deg$ のときであるから
\begin{align*}
\sqrt{2}(\cos135\Deg+i\sin135\Deg)
&=\sqrt{2}\left(-\dfrac{1}{\sqrt{2}}+\dfrac{1}{\sqrt{2}}i\right) \\[4pt]
&=-1+i
\end{align*}
\sqrt{2}(\cos135\Deg+i\sin135\Deg)
&=\sqrt{2}\left(-\dfrac{1}{\sqrt{2}}+\dfrac{1}{\sqrt{2}}i\right) \\[4pt]
&=-1+i
\end{align*}
ヒロ
もし空欄を埋めるテクニックを使うなら,$r=\sqrt{2}$ であることを考えれば,$\myBox{サ}=1$ であることがすぐに分かる。
(2)の解答
(2) 次に方程式
\begin{align*}の解について考えよう。
z^6-4z^3+8=0~\cdots\cdots②
\end{align*}
②は $(z^3-2)^2=-\myBox{シ}$,すなわち\begin{align*}となるから,(1)と同様に考えると,第2象限にある②の解は(1)で求めた
z^3=2\pm\myBox{ス}\,i
\end{align*}\begin{align*}と
-\mybox{サ}+i
\end{align*}\begin{align*}の2個であり,他の解は第1象限に1個,第3象限に $\myBox{ト}$ 個,第4象限に $\myBox{ナ}$ 個存在する。
\dfrac{\myBox{セ}-\sqrt{\myBox{ソ}}}{\myBox{タ}}+\dfrac{\myBox{チ}+\sqrt{\myBox{ツ}}}{\myBox{テ}}i
\end{align*}
ヒロ
次は6次方程式を解く問題。$z^3$ をカタマリで見ると,$z^3$ の2次方程式になっているね。
ヒロ
誘導通りに進めていこう。
【シスの解答】
②より
②より
\begin{align*}
&(z^3)^2-4z^3+8=0 \\[4pt]
&(z^3-2)^2+4=0 \\[4pt]
&(z^3-2)^2=-4
\end{align*}
よって&(z^3)^2-4z^3+8=0 \\[4pt]
&(z^3-2)^2+4=0 \\[4pt]
&(z^3-2)^2=-4
\end{align*}
\begin{align*}
&z^3-2=\pm2i \\[4pt]
&z^3=2\pm2i
\end{align*}
&z^3-2=\pm2i \\[4pt]
&z^3=2\pm2i
\end{align*}
ヒロ
「(1)と同様」とは,極形式を利用することを意味することに注意しよう。
【セ~テの解答】
$z^3=2+2i$ の解で複素数平面上の第2象限にあるものは $-1+i$ となるのは,さっき求めたから,今求めたいものは $z^3=2-2i$ の解の中にあることが分かる。$2-2i$ を極形式で表すと
また,$3\theta=315\Deg,~675\Deg,~1135\Deg$ より
$z^3=2+2i$ の解で複素数平面上の第2象限にあるものは $-1+i$ となるのは,さっき求めたから,今求めたいものは $z^3=2-2i$ の解の中にあることが分かる。$2-2i$ を極形式で表すと
\begin{align*}
2-2i&=2\sqrt{2}\left(\dfrac{1}{\sqrt{2}}-\dfrac{1}{\sqrt{2}}i\right) \\[4pt]
&=2\sqrt{2}\left(\cos315\Deg+i\sin315\Deg\right)
\end{align*}
となる。$z=r(\cos\theta+i\sin\theta)$ とおくと,②より2-2i&=2\sqrt{2}\left(\dfrac{1}{\sqrt{2}}-\dfrac{1}{\sqrt{2}}i\right) \\[4pt]
&=2\sqrt{2}\left(\cos315\Deg+i\sin315\Deg\right)
\end{align*}
\begin{align*}
r^3(\cos3\theta+i\sin3\theta)=2\sqrt{2}(\cos315\Deg+i\sin315\Deg)
\end{align*}
よって,r^3(\cos3\theta+i\sin3\theta)=2\sqrt{2}(\cos315\Deg+i\sin315\Deg)
\end{align*}
\begin{align*}
\begin{cases}
r^3=2\sqrt{2} \\[4pt]
3\theta=315\Deg+360\Deg\times k~(k=1,~2,~3)
\end{cases}
\end{align*}
$r^3=2\sqrt{2}$ より,$r=\sqrt{2}$\begin{cases}
r^3=2\sqrt{2} \\[4pt]
3\theta=315\Deg+360\Deg\times k~(k=1,~2,~3)
\end{cases}
\end{align*}
また,$3\theta=315\Deg,~675\Deg,~1135\Deg$ より
\begin{align*}
\theta=105\Deg,~225\Deg,~345\Deg
\end{align*}
したがって,複素数平面上の第2象限にある②の解で $-1+i$ 以外のものは\theta=105\Deg,~225\Deg,~345\Deg
\end{align*}
\begin{align*}
2\sqrt{2}(\cos105\Deg+i\sin105\Deg)
\end{align*}
である。ここで,2\sqrt{2}(\cos105\Deg+i\sin105\Deg)
\end{align*}
\begin{align*}
\cos105\Deg
&=\cos(45\Deg+60\Deg) \\[4pt]
&=\cos45\Deg\cos60\Deg-\sin45\Deg\sin60\Deg \\[4pt]
&=\dfrac{1}{\sqrt2}\Cdota\dfrac12
-\dfrac{1}{\sqrt2}\Cdota\dfrac{\sqrt3}{2} \\[4pt]
&=\dfrac{1-\sqrt3}{2\sqrt2} \\[4pt]
\sin105\Deg
&=\sin(45\Deg+60\Deg) \\[4pt]
&=\sin45\Deg\cos60\Deg+\cos45\Deg\sin60\Deg \\[4pt]
&=\dfrac{1}{\sqrt2}\Cdota\dfrac12
+\dfrac{1}{\sqrt2}\Cdota\dfrac{\sqrt3}{2} \\[4pt]
&=\dfrac{1+\sqrt3}{2\sqrt2}
\end{align*}
だから,\cos105\Deg
&=\cos(45\Deg+60\Deg) \\[4pt]
&=\cos45\Deg\cos60\Deg-\sin45\Deg\sin60\Deg \\[4pt]
&=\dfrac{1}{\sqrt2}\Cdota\dfrac12
-\dfrac{1}{\sqrt2}\Cdota\dfrac{\sqrt3}{2} \\[4pt]
&=\dfrac{1-\sqrt3}{2\sqrt2} \\[4pt]
\sin105\Deg
&=\sin(45\Deg+60\Deg) \\[4pt]
&=\sin45\Deg\cos60\Deg+\cos45\Deg\sin60\Deg \\[4pt]
&=\dfrac{1}{\sqrt2}\Cdota\dfrac12
+\dfrac{1}{\sqrt2}\Cdota\dfrac{\sqrt3}{2} \\[4pt]
&=\dfrac{1+\sqrt3}{2\sqrt2}
\end{align*}
\begin{align*}
&2\sqrt{2}(\cos105\Deg+i\sin105\Deg) \\[4pt]
&=\sqrt{2}\left(\dfrac{1-\sqrt3}{2\sqrt2}+\dfrac{1+\sqrt3}{2\sqrt2}i\right) \\[4pt]
&=\dfrac{1-\sqrt{3}}{2}+\dfrac{1+\sqrt{3}}{2}i
\end{align*}
&2\sqrt{2}(\cos105\Deg+i\sin105\Deg) \\[4pt]
&=\sqrt{2}\left(\dfrac{1-\sqrt3}{2\sqrt2}+\dfrac{1+\sqrt3}{2\sqrt2}i\right) \\[4pt]
&=\dfrac{1-\sqrt{3}}{2}+\dfrac{1+\sqrt{3}}{2}i
\end{align*}
ヒロ
第2象限にある解だけを求めるのかと思ったら,結局どの象限に何個解があるのかを求めないといけない。
【トナの解答】
$z^3=2+2i$ の解の偏角が
また,$z^3=2-2i$ の解の偏角は
よって,②の解は第1象限に1個,第2象限に2個,第3象限に2個,第4象限に1個ある。
$z^3=2+2i$ の解の偏角が
\begin{align*}
15\Deg,~135\Deg,~255\Deg
\end{align*}
であるから,第1象限に1個,第2象限に1個,第3象限に1個ある。15\Deg,~135\Deg,~255\Deg
\end{align*}
また,$z^3=2-2i$ の解の偏角は
\begin{align*}
105\Deg,~225\Deg,~345\Deg
\end{align*}
であるから,第2象限に1個,第3象限に1個,第4象限に1個ある。105\Deg,~225\Deg,~345\Deg
\end{align*}
よって,②の解は第1象限に1個,第2象限に2個,第3象限に2個,第4象限に1個ある。
2001年 センター数学ⅡB 複素数平面を解いた感想
ヒロ
(1)は3次方程式を極形式を利用して解く問題で,丁寧に誘導されているため,それほど苦労しないだろう。
ヒロ
(2)は次数が6次になっただけで,また同じことをさせられるのかと思ったら,(1)を再利用できるように作られている。その点はありがたい。
ヒロ
しかし,$\cos105\Deg$ と $\sin105\Deg$ をノーヒントで求めなければならず,加法定理を忘れていた場合(そんな人は受験生じゃない)は詰むので注意。
ヒロ
最後の解の個数の問題は,途中の問題で,第2象限だけの角度を求めた人は戻って計算しないといけないため,凹む問題だろう。