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【数学ⅡB】導関数と多項式で割ったときの余り【慶應義塾大・日本女子大・明治大】

導関数と除法数学IAIIB
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2020年 慶應義塾大

2020年 慶應義塾大$P(x)$ を整式とし,$P'(x)$ を $P(x)$ の導関数とする。このとき,$x=\alpha$ が方程式 $P'(x)=0$ の解となることは,$x=\alpha$ が方程式 $P(x)=0$ の2重解となるための必要条件であることを証明しなさい。
ヒロ
ヒロ

方程式 $P(x)$ が $x=\alpha$ を2重解をもつとき,$P(x)$ が $(x-\alpha)^2$ を因数にもつことを利用しよう。

ヒロ
ヒロ

必要条件や十分条件についての知識があいまいな場合は,次の記事を読んで復習しよう。

【解答と考え方】
$x=\alpha$ が方程式 $P(x)=0$ の2重解となるとき,多項式 $Q(x)$ を用いて
\begin{align*}
P(x)=(x-\alpha)^2Q(x)
\end{align*}
と表せる。このとき
\begin{align*}
P'(x)=2(x-\alpha)Q(x)+(x-\alpha)^2Q'(x)
\end{align*}
となるから
\begin{align*}
P'(\alpha)&=2(\alpha-\alpha)Q(x)+(\alpha-\alpha)^2Q'(x) \\[4pt]
&=0
\end{align*}
となる。
よって,$x=\alpha$ が方程式 $P'(x)=0$ の解となることは,$x=\alpha$ が方程式 $P(x)=0$ の2重解となるための必要条件である。

2019年 日本女子大

2019年 日本女子大多項式 $x^3+ax^2+3x+b$ が $(x-c)^2$ で割り切れるような整数の組 $(a,~b,~c)$ をすべて求めよ。
ヒロ
ヒロ

問題文通りに割り算を行って得られた余りが0になるような $a,~b,~c$ を考えても良いが,ここでは導関数を利用して解くことにする。

ヒロ
ヒロ

上で解説した慶應義塾大の問題を知っていれば,導関数をうまく利用することができるだろう。

【解答と考え方】
$f(x)=x^3+ax^2+3x+b$ とおくと
\begin{align*}
f'(x)=3x^2+2ax+3
\end{align*}
$f(x)$ が $(x-c)^2$ で割り切れるとき
\begin{align*}
f(c)=0~かつ~f'(c)=0
\end{align*}
が成り立つ。
$f(c)=0$ より
\begin{align*}
c^3+ac^2+3c+b=0~\cdots\cdots①
\end{align*}
$f'(c)=0$ より
\begin{align*}
3c^2+2ac+3=0~\cdots\cdots②
\end{align*}
②より
\begin{align*}
c(3c+2a)=-3
\end{align*}
$a,~b,~c$ は整数であるから,$c=\pm1,~\pm3$ である。
(i) $c=1$ のとき,②より
\begin{align*}
&3+2a+3=0 \\[4pt]
&a=-3
\end{align*}
このとき,①より
\begin{align*}
&1-3+3+b=0 \\[4pt]
&b=-1
\end{align*}
(ii) $c=-1$ のとき,②より
\begin{align*}
&3-2a+3=0 \\[4pt]
&a=3
\end{align*}
このとき,①より
\begin{align*}
&-1+3-3+b=0 \\[4pt]
&b=1
\end{align*}
(iii) $c=3$ のとき,②より
\begin{align*}
&27+6a+3=0 \\[4pt]
&a=-5
\end{align*}
このとき,①より
\begin{align*}
&27-45+9+b=0 \\[4pt]
&b=9
\end{align*}
(iv) $c=-3$ のとき,②より
\begin{align*}
&27-6a+3=0 \\[4pt]
&a=5
\end{align*}
このとき,①より
\begin{align*}
&-27+45-9+b=0 \\[4pt]
&b=-9
\end{align*}
以上より
\begin{align*}
(a,~b,~c)=(-3,~-1,~1),~(3,~1,~-1),~(-5,~9,~3),~(5,~-9,~-3)
\end{align*}

2019年 明治大

2019年 明治大多項式 $f(x)$ を $x-1$ で割ると余りは13,$x+1$ で割ると余りは $-1$ である。また,$f(x)$ を微分して得られる多項式 $f'(x)$ を $x-1$ で割ると余りが11であるとする。このとき,$f(x)$ を $(x-1)^2(x+1)$ で割ると余りは
\begin{align*}
\myhako\,x^2+\myhako\,x+\myhako
\end{align*}
である。
【解答と考え方】
$f(x)$ を $x-1,~x+1$ で割ったあまりがそれぞれ13,$-1$ であるから
\begin{align*}
f(1)=13,~f(-1)=-1
\end{align*}
また,$f'(x)$ を $x-1$ で割ると余りが11であるから,
\begin{align*}
f'(1)=11
\end{align*}
$f(x)$ を $x+1$ で割った余りが $-1$ であることを考えると,$(x-1)^2(x+1)$ で割った余りは $a(x+1)^2+b(x+1)-1$ とおけるから,多項式 $Q(x)$ を用いて
\begin{align*}
f(x)=(x-1)^2(x+1)Q(x)+a(x+1)^2+b(x+1)-1~\cdots\cdots①
\end{align*}
と表せる。$f(1)=13$ より
\begin{align*}
&4a+2b-1=13 \\[4pt]
&2a+b=7~\cdots\cdots②
\end{align*}
①の両辺を $x$ で微分すると
\begin{align*}
f'(x)&=\{2(x-1)(x+1)+(x-1)^2\}Q(x)+(x-1)^2(x+1)Q'(x)+2a(x+1)+b
\end{align*}
となるから,$f'(1)=11$ より
\begin{align*}
4a+b=11~\cdots\cdots③
\end{align*}
②,③より,$a=2,~b=3$
よって,求める余りは $2(x+1)^2+3(x+1)-1$ すなわち
\begin{align*}
2x^2+7x+4
\end{align*}
ヒロ
ヒロ

上の解答で分かりにくいのは①だろう。

【余りの表し方】
 余りの次数は割る式の次数より低いため,2次式で割ったときの余りは1次式または定数である。したがって,今回の問題では
\begin{align*}
f(x)=(x-1)^2(x+1)Q(x)+ax^2+bx+c
\end{align*}
と表すことができる。この場合,未知数は $a,~b,~c$ の3つであるが,一般的には未知数の個数が少ないほど楽になる。$f(x)$ を $x+1$ で割った余りが $-1$ であることも考慮することで,未知数を減らすことができることを知ろう。
 上のように表せる $f(x)$ を $x+1$ で割ることを考える。第一項の $(x-1)^2(x+1)Q(x)$ が $x+1$ で割り切れるから,$f(x)$ を $x+1$ で割った余りは,$ax^2+bx+c$ を $x+1$ で割った余りに等しい。実際に割り算を行うと
\begin{align*}
ax^2+bx+c=(x+1)(ax-a+b)+a-b+c
\end{align*}
となる。商の $ax-a+b$ について
\begin{align*}
ax-a+b=a(x+1)-2a+b
\end{align*}
と変形すると
\begin{align*}
ax^2+bx+c&=(x+1)\{a(x+1)-2a+b\}+a-b+c \\[4pt]
&=a(x+1)^2+(-2a+b)(x+1)+a-b+c
\end{align*}
となる。このように $ax^2+bx+c$ を $x+1$ のカタマリを用いて表すことを「$x=-1$ の周りに展開する」という。上では真面目に割り算を行ったため,係数が定まっているが,これは面倒である。$x$ の係数の $-2a+b$ や定数項 $a-b+c$ を具体的に書く必要はないから,$b$ と $c$ にしておくと,$ax^2+bx+c$ と置く代わりに,$a(x+1)^2+b(x+1)+c$ と置くことができる。つまり
\begin{align*}
f(x)=(x-1)^2(x+1)Q(x)+a(x+1)^2+b(x+1)+c
\end{align*}
と表せることが分かる。ここで,説明のためにさらに変形すると次のようになる。
\begin{align*}
f(x)=(x+1)\{(x-1)^2Q(x)+a(x+1)+b\}+c
\end{align*}
この変形から,$f(x)$ を $x+1$ で割った余りは $c$ であることが分かるが,$c$ は $-1$ であることが問題文で与えられているから
\begin{align*}
f(x)=(x-1)^2(x+1)Q(x)+a(x+1)^2+b(x+1)-1
\end{align*}
と表せるのである。このように考えることで,問題文で与えられた条件をうまく使って未知数の個数を減らすことができる。結果として,計算も楽になる。
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