2次関数のグラフを描くためには,軸と頂点を把握することが重要です。
一般的な2次関数は,そのままの形ではすぐに軸と頂点が分からないものも多いです。
したがって,軸と頂点が分かるような式に変形する必要があります。
この変形を「平方完成」といいます。非常に重要な変形なので,しっかりできるようにしておきましょう。
2次関数の平方完成
ヒロ
具体的な2次関数を平方完成する練習をしよう。
問題2次関数 $y=x^2+4x+7$ の頂点の座標を求めよ。
ヒロ
平方公式「$(x+a)^2=x^2+2ax+a^2$」を利用して変形しよう。
【考え方と解答】
$x$ の係数が4だから,平方公式の $2a$ が4である。つまり $a=2$ である。$a^2=4$ だから,定数項を4を使って表す。
$x$ の係数が4だから,平方公式の $2a$ が4である。つまり $a=2$ である。$a^2=4$ だから,定数項を4を使って表す。
\begin{align*}
y&=(x^2+4x+4)+3 \\[4pt]
&=(x+2)^2+3
\end{align*}
よって,頂点の座標は $(-2,~3)$y&=(x^2+4x+4)+3 \\[4pt]
&=(x+2)^2+3
\end{align*}
ヒロ
色々な考え方を知って,問題に応じて使い分けたり,自分に合うもので変形できるようにしよう。
【考え方 その2】
$x$ の係数が4だから,その半分の2を使って $(x+2)^2$ を考える。
$x$ の係数が4だから,その半分の2を使って $(x+2)^2$ を考える。
\begin{align*}
y=(x+2)^2+\bigcirc
\end{align*}
この式の定数項は $4+\bigcirc$ となり,これが7であるから,$\bigcirc=3$ と分かる。よってy=(x+2)^2+\bigcirc
\end{align*}
\begin{align*}
y=(x+2)^2+3
\end{align*}
となる。y=(x+2)^2+3
\end{align*}
ヒロ
最初の考え方とほとんど同じだけど,最初に $(x+2)^2$ を書いてしまう点で異なる。
ヒロ
とりあえず $(x+2)^2$ を書いてから定数項の調整をしている。
【考え方 その3】
$x$ の係数が4だから,その半分の2を使って $(x+2)^2$ を考えるところまでは同じ。
$x$ の係数が4だから,その半分の2を使って $(x+2)^2$ を考えるところまでは同じ。
\begin{align*}
y=(x+2)^2+\bigcirc
\end{align*}
○に入る値は $x=-2$ のときの $y$ の値である。2次関数の式に $x=-2$ を代入するとy=(x+2)^2+\bigcirc
\end{align*}
\begin{align*}
y&=(-2)^2+4\Cdota(-2)+7 \\[4pt]
&=4-8+7=3
\end{align*}
となるから,y&=(-2)^2+4\Cdota(-2)+7 \\[4pt]
&=4-8+7=3
\end{align*}
\begin{align*}
y=(x+2)^2+3
\end{align*}
と変形できる。y=(x+2)^2+3
\end{align*}
ヒロ
この考え方は定数項を調整するという考え方ではなく,$(x+2)^2$ を考えた時点で頂点の $x$ 座標が $-2$ であることが分かっていることを利用している。
ヒロ
「このやり方が正しい!」などというものはなく,各自でやりやすい・考えやすい方法で平方完成すれば良い。
2次関数の平方完成2
ヒロ
では次の問題を解いてみよう。
問題2次関数 $y=x^2-6x-3$ の頂点の座標を求めよ。
【考え方と解答】
$x$ の係数 $-6$ を見て,定数項が $(-3)^2=9$ なら,ちょうど2乗の形を作ることができる。実際の定数項は $-3$ だから,そうなるように調整する。
$x$ の係数 $-6$ を見て,定数項が $(-3)^2=9$ なら,ちょうど2乗の形を作ることができる。実際の定数項は $-3$ だから,そうなるように調整する。
\begin{align*}
y&=(x^2-6x+9)-12 \\[4pt]
&=(x-3)^2-12
\end{align*}
よって,頂点の座標は $(3,~-12)$y&=(x^2-6x+9)-12 \\[4pt]
&=(x-3)^2-12
\end{align*}
【考え方 その2】
$(x-3)^2$ を考えるところまでは同じ。
$(x-3)^2$ を考えるところまでは同じ。
\begin{align*}
y=(x-3)^2+\bigcirc
\end{align*}
この式の定数項は $9+\bigcirc$ となり,これが $-3$ であるから,$\bigcirc=-12$ と分かる。よってy=(x-3)^2+\bigcirc
\end{align*}
\begin{align*}
y=(x-3)^2-12
\end{align*}
となる。y=(x-3)^2-12
\end{align*}
【考え方 その3】
\begin{align*}
y=(x-3)^2+\bigcirc
\end{align*}
元の式から $x=3$ のときの $y$ の値を求めるとy=(x-3)^2+\bigcirc
\end{align*}
\begin{align*}
y&=3^2-6\Cdota3-3 \\[4pt]
&=9-18-3=-12
\end{align*}
となるからy&=3^2-6\Cdota3-3 \\[4pt]
&=9-18-3=-12
\end{align*}
\begin{align*}
y=(x-3)^2-12
\end{align*}
y=(x-3)^2-12
\end{align*}
2次関数の平方完成3
問題2次関数 $y=2x^2-4x-3$ の頂点の座標を求めよ。
【考え方と解答】
$x^2$ の係数が2だから,$x^2$ の項と $x$ の項の2つの項を2でくくる。
$x^2$ の係数が2だから,$x^2$ の項と $x$ の項の2つの項を2でくくる。
\begin{align*}
y=2(x^2-2x)-3
\end{align*}
括弧内の $x^2-2x$ を平方完成する。y=2(x^2-2x)-3
\end{align*}
\begin{align*}
y&=2\{(x-1)^2-1\}-3 \\[4pt]
&=2(x-1)^2-2-3 \\[4pt]
&=2(x-1)^2-5
\end{align*}
よって,頂点の座標は $(1,~-5)$y&=2\{(x-1)^2-1\}-3 \\[4pt]
&=2(x-1)^2-2-3 \\[4pt]
&=2(x-1)^2-5
\end{align*}
ヒロ
中括弧を外すときに $x^2$ の係数2をかけるのを忘れないようにしよう。
【考え方 その2】
頂点の $x$ 座標を先に求めると
頂点の $x$ 座標を先に求めると
\begin{align*}
x=-\dfrac{-4}{2\Cdot2}=1
\end{align*}
となる。また,$x=1$ のときの $y$ の値はx=-\dfrac{-4}{2\Cdot2}=1
\end{align*}
\begin{align*}
y=2-4-3=-5
\end{align*}
だから,y=2-4-3=-5
\end{align*}
\begin{align*}
y=2(x-1)^2-5
\end{align*}
と変形できる。y=2(x-1)^2-5
\end{align*}
2次関数の平方完成4
ヒロ
次の平方完成ができれば基本は大丈夫だろう。
問題2次関数 $y=-3x^2-8x+5$ の頂点の座標を求めよ。
【考え方と解答】
$x^2$ の項と $x$ の項を $x^2$ の係数 $-3$ でくくる。
$x^2$ の項と $x$ の項を $x^2$ の係数 $-3$ でくくる。
\begin{align*}
y=-3\left(x^2+\dfrac{8}{3}x\right)+5
\end{align*}
括弧内を平方完成する。y=-3\left(x^2+\dfrac{8}{3}x\right)+5
\end{align*}
\begin{align*}
y&=-3\left\{\left(x+\dfrac{4}{3}\right)^2-\dfrac{16}{9}\right\}+5 \\[4pt]
&=-3\left(x+\dfrac{4}{3}\right)^2+\dfrac{16}{3}+5 \\[4pt]
&=-3\left(x+\dfrac{4}{3}\right)^2+\dfrac{31}{3}
\end{align*}
よって,頂点の座標は $\left(-\dfrac{4}{3},~\dfrac{31}{3}\right)$y&=-3\left\{\left(x+\dfrac{4}{3}\right)^2-\dfrac{16}{9}\right\}+5 \\[4pt]
&=-3\left(x+\dfrac{4}{3}\right)^2+\dfrac{16}{3}+5 \\[4pt]
&=-3\left(x+\dfrac{4}{3}\right)^2+\dfrac{31}{3}
\end{align*}
2次関数の平方完成(一般形)
ヒロ
一般的な2次関数 $y=ax^2+bx+c$ を $y=a(x-p)^2+q$ の形に変形する手順を理解しよう。
ヒロ
頂点の $x$ 座標を最初に求めてしまうのが楽だと思う。
【平方完成の考え方】
$y=a(x-p)^2+q$ を展開して $x$ の係数を求めると,$-2ap$ であることが分かるから
$y=a(x-p)^2+q$ を展開して $x$ の係数を求めると,$-2ap$ であることが分かるから
\begin{align*}
&-2ap=b \\[4pt]
&p=-\dfrac{b}{2a}
\end{align*}
$x=p$ のときの $y$ の値は&-2ap=b \\[4pt]
&p=-\dfrac{b}{2a}
\end{align*}
\begin{align*}
y&=a\left(-\dfrac{b}{2a}\right)^2-\dfrac{b^2}{2a}+c \\[4pt]
&=\dfrac{b^2}{4a}-\dfrac{b^2}{2a}+c \\[4pt]
&=-\dfrac{b^2-4ac}{4a}
\end{align*}
よって,y&=a\left(-\dfrac{b}{2a}\right)^2-\dfrac{b^2}{2a}+c \\[4pt]
&=\dfrac{b^2}{4a}-\dfrac{b^2}{2a}+c \\[4pt]
&=-\dfrac{b^2-4ac}{4a}
\end{align*}
\begin{align*}
y=a\left(x-\dfrac{b}{2a}\right)^2-\dfrac{b^2-4ac}{4a}
\end{align*}
y=a\left(x-\dfrac{b}{2a}\right)^2-\dfrac{b^2-4ac}{4a}
\end{align*}
軸の方程式は $x=-\dfrac{b}{2a}$,頂点の座標は $\left(-\dfrac{b}{2a},~-\dfrac{b^2-4ac}{4a}\right)$