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相加・相乗平均の関係を利用して最小値を求める問題【星薬科大】
2019年 星薬科大a>0, b>0 のとき,(a2+3b)(4a+b6) の最小値は ア ア である。

ヒロ
分数式の最小値を求める問題では,相加・相乗平均の関係を利用することを検討してみよう。
【考え方と解答】
よって,求める最小値は 92 である。
(与式)=ab12+12ab+52
a, b が正であるから,相加・相乗平均の関係よりab12+12ab≧2√ab12∙12ab=2ab12+12ab+52≧2+52=92
ここで,等号が成り立つのは ab12=12ab=1 すなわち ab=12 のときである。よって,求める最小値は 92 である。
相加・相乗平均の関係を利用して最小値を求めるときの注意点

ヒロ
最初の問題で,与式を展開せずに同じようにすると,解答は次のようなどこかおかしいものになる。
a>0, b>0 のとき,(a2+3b)(4a+b6) の最小値は ア ア である。
【何かがおかしい解答?】
a, b が正であるから,相加・相乗平均の関係より
a2+3b≧2√3a2b ⋯⋯①4a+b6≧2√2b3a ⋯⋯②
①,②の辺々をかけて(a2+3b)(4a+b6)≧4 ⋯⋯③

ヒロ
③を見ると,最小値は4だと思ってしまう。

ヒロ
しかも,どこも間違えているようには思えず,何が悪いのか分からなくなる。

ヒロ
また「解き方によって解答が異なる」という訳の分からないことになってしまう。
【何がおかしいのか?】
等号が成立するときに着目しよう。③の等号が成り立つのは,①と②の等号が同時に成り立つときである。
①の等号が成り立つのは a2=3b すなわち ab=6 のときである。また,②の等号が成り立つのは 4a=b6 すなわち ab=24 のときである。
つまり,①と②の等号が同時に成り立つことはないから,③の等号が成り立つこともない。
(a2+3b)(4a+b6) は4以上の値をとると言えるが,実際には4になることはないということ。したがって,(a2+3b)(4a+b6) の最小値が4であるとは言えない。

ヒロ
ということで,相加・相乗平均の関係を利用して,最小値や最大値を求めるときは「等号が成り立つときが存在するかどうか」に注意するようにしよう。

ヒロ
また一般的に,「積が一定」のときは,相加・相乗平均の関係を利用することで最小値を求められる。
相加・相乗平均の関係を利用して最大値を求める問題【慶應義塾大】
2020年 慶應義塾大正の実数 x と y が 9x2+16y2=144 を満たしているとき,xy の最大値は ア である。
【考え方と解答】
今回,与えられている条件は「和が一定」である。この場合は,相加・相乗平均の関係をうまく利用することで,xy の最大値を求めることができる。
x と y が正であるから,相加・相乗平均の関係より
よって,求める xy の最大値は6である。
今回,与えられている条件は「和が一定」である。この場合は,相加・相乗平均の関係をうまく利用することで,xy の最大値を求めることができる。
x と y が正であるから,相加・相乗平均の関係より
9x2+16y22≧√9x2∙16y21442≧|12xy|xy≦6
等号が成り立つのは,9x2=16y2=72 すなわち x=2√2, y=3√22 のときである。よって,求める xy の最大値は6である。

ヒロ
分数関数の最大値や最小値を求める問題において,相加・相乗平均の関係を利用することが多いが,等号成立条件を常に確かめるようにしよう。