関数を具体的に与えられない問題が苦手な人が多いのではないでしょうか?
この記事では,与えられた関数の関係式や条件から,関数の値を求めたり,増加関数であることを証明する問題の解法について説明します。
具体的な関数が分からないのに,どのようにして関数の値を求めるのか,増加関数であることをどのように証明するのかを知ることで数学力をアップさせましょう。
2018年 兵庫県立大
とりあえず解いてみよう。
① $f(xy)=f(x)+f(y)$
② $x>1$ ならば $f(x)>0$
以下の問に答えなさい。
(1) $f(1)$ を求めなさい。
(2) $f\left(\dfrac1x\right)$ を $f(x)$ で表しなさい。
(3) 関数 $f(x)$ は $x>0$ において増加関数であること,すなわち $x$ の値が増加すれば $f(x)$ の値も増加することを示しなさい。
(1)の考え方と解答
$f(1)$ の値を求める問題だね。
何かの値を求めるときは,その値を未知数とする方程式を立てるのが基本だね。
今回の場合は $f(1)$ に関する方程式を立てれば良いね。
与えられている等式は①だけだから,$x$ や $y$ に適当な値を代入して,$f(1)$ が現れるようにしよう。
①において $x=y=1$ とすると
&f(1)=f(1)+f(1) \\[4pt]
&f(1)=0
\end{align*}
(2)の考え方と解答
次は $f\left(\dfrac{1}{x}\right)$ と $f(x)$ が現れるようにしよう。
$y$ がないため,$y=\dfrac{1}{x}$ と置いてみよう。
$y=\dfrac{1}{x}$ とおくと
&f\left(x\Cdot\dfrac{1}{x}\right)=f(x)+f\left(\dfrac{1}{x}\right) \\[4pt]
&f(1)=f(x)+f\left(\dfrac{1}{x}\right)
\end{align*}
&f(x)+f\left(\dfrac{1}{x}\right)=0 \\[4pt]
&f\left(\dfrac{1}{x}\right)=-f(x)
\end{align*}
素直に考えてうまくいったね。
(3)の考え方と解答
最後は増加関数であることを証明する問題。
まず $f(y)-f(x)$ がどうなるかを調べてみるのが良いかもね。
(2)の結果より
f(y)-f(x)=f(y)+f\left(\dfrac{1}{x}\right)
\end{align*}
f(y)-f(x)=f\left(\dfrac{y}{x}\right)
\end{align*}
したがって,$0<x<y$ のとき,$f(x)<f(y)$ となるから,関数 $f(x)$ は増加関数である。
(3)の別の考え方と解答
人によって考え方は異なるのだから,$a$ を正の数として $f(x+a)-f(x)$ が正になる証明を考える人もいるだろう。
①の式と見比べて $xy=x+a$ すなわち $y=1+\dfrac{a}{x}$ とおいて考えてみよう。
$a$ を正の数として $y=1+\dfrac{a}{x}$ とおくと①より
f(x+a)=f(x)+f\left(1+\dfrac{a}{x}\right)
\end{align*}
よって,正の数 $a$ に対して,常に $f(x+a)-f(x)>0$ となるから,関数 $f(x)$ は増加関数である。
まとめ
このような問題の場合,$x$ や $y$ をどのように置くかがポイントとなる。
文字の置き方によって解けたり解けなかったりするため試行錯誤が必要だろう。
何も考えず文字を適当に置き換えるのではなく,何らかの根拠をもって文字を置き換えることが重要である。
何もせずに「分からない」というのは論外であるが,本当に何も分からないなら,次の本などで基礎知識を身に付けるところから始めよう。