2017年センター試験 数学ⅠA 第3問 場合の数・確率の解説をします。
まだ問題を解いていない人は解いてから解説を読んでください。
(1) A,Bの少なくとも一方があたりのくじを引く事象 $E_1$ の確率は,$\dfrac{\myBox{ア}}{\myBox{イ}}$ である。
(2) 次の $\mybox{ウ}$, $\mybox{エ}$, $\mybox{オ}$ に当てはまるものを,下の⓪~⑤のうちから一つずつ選べ。ただし,解答の順序は問わない。
A,B,Cの3人で2本のあたりのくじを引く事象 $E$ は,3つの排反な事象 $\myBox{ウ}$, $\myBox{エ}$, $\myBox{オ}$ の和事象である。
⓪ Aがはずれのくじを引く事象
① Aだけがはずれのくじを引く事象
② Bがはずれのくじを引く事象
③ Bだけがはずれのくじを引く事象
④ Cがはずれのくじを引く事象
⑤ Cだけがはずれのくじを引く事象
また,その和事象の確率は $\dfrac{\myBox{カ}}{\myBox{キ}}$ である。
(3) 事象 $E_1$ が起こったときの事象 $E$ の起こる条件付き確率は,$\dfrac{\myBox{ク}}{\myBox{ケ}}$ である。
(4) 次の $\mybox{コ}$, $\mybox{サ}$, $\mybox{シ}$ に当てはまるものを,下の⓪~⑤のうちから一つずつ選べ。ただし,解答の順序は問わない。
B,Cの少なくとも一方があたりのくじを引く事象 $E_2$ は,3つの排反な事象 $\myBox{コ}$, $\myBox{サ}$, $\myBox{シ}$ の和事象である。
⓪ Aがはずれのくじを引く事象
① Aだけがはずれのくじを引く事象
② Bがはずれのくじを引く事象
③ Bだけがはずれのくじを引く事象
④ Cがはずれのくじを引く事象
⑤ Cだけがはずれのくじを引く事象
また,その和事象の確率は $\dfrac{\myBox{ス}}{\myBox{セ}}$ である。他方,A,Cの少なくとも一方があたりのくじをひく事象 $E_3$ の確率は,$\dfrac{\myBox{ソ}}{\myBox{タ}}$ である。
(5) 次の $\mybox{チ}$ に当てはまるものを,下の⓪~⑥のうちから一つ選べ。
事象 $E_1$ が起こったときの事象 $E$ の起こる条件付き確率 $p_1$,事象 $E_2$ が起こったときの事象 $E$ の起こる条件付き確率 $p_2$,事象 $E_3$ が起こったときの事象 $E$ の起こる条件付き確率 $p_3$ の間の大小関係は,$\myBox{チ}$ である。
⓪ $p_1<p_2<p_3$ ① $p_1>p_2>p_3$ ② $p_1<p_2=p_3$
③ $p_1>p_2=p_3$ ④ $p_1=p_2<p_3$ ⑤ $p_1=p_2>p_3$
⑥ $p_1=p_2=p_3$
(1)の解答
「少なくとも」を見たら余事象を考えるようにしよう。
ただし,そのまま考えた方が速い場合もあるので注意。
事象 $E_1$ の余事象 $\overline{E_1}$ を考える。
$\overline{E_1}$ はA,Bがともにはずれのくじを引く事象であり,その確率は
\dfrac{2}{4}\Cdot\dfrac{1}{3}=\dfrac{1}{6}
\end{align*}
1-\dfrac{1}{6}=\dfrac{5}{6}
\end{align*}
(2)の解答
(2) 次の $\mybox{ウ}$, $\mybox{エ}$, $\mybox{オ}$ に当てはまるものを,下の⓪~⑤のうちから一つずつ選べ。ただし,解答の順序は問わない。
A,B,Cの3人で2本のあたりのくじを引く事象 $E$ は,3つの排反な事象 $\myBox{ウ}$, $\myBox{エ}$, $\myBox{オ}$ の和事象である。
⓪ Aがはずれのくじを引く事象
① Aだけがはずれのくじを引く事象
② Bがはずれのくじを引く事象
③ Bだけがはずれのくじを引く事象
④ Cがはずれのくじを引く事象
⑤ Cだけがはずれのくじを引く事象
また,その和事象の確率は $\dfrac{\myBox{カ}}{\myBox{キ}}$ である。
次は事象 $E$ を3つの排反事象の和事象で答える問題。
A,B,Cの3人で2本のあたりのくじを引くとき,3人の中で誰か1人だけがはずれのくじを引くときである。
よって,事象 $E$ は3つの事象①,③,⑤の和事象である。
次はその確率を求めよう。
Aだけがはずれのくじを引く確率は
\dfrac{2}{4}\Cdot\dfrac{2}{3}\Cdot\dfrac{1}{2}=\dfrac{1}{6}
\end{align*}
\dfrac{2}{4}\Cdot\dfrac{2}{3}\Cdot\dfrac{1}{2}=\dfrac{1}{6}
\end{align*}
\dfrac{2}{4}\Cdot\dfrac{1}{3}\Cdot\dfrac{2}{2}=\dfrac{1}{6}
\end{align*}
\dfrac{1}{6}+\dfrac{1}{6}+\dfrac{1}{6}=\dfrac{1}{2}
\end{align*}
(3)の解答
(3) 事象 $E_1$ が起こったときの事象 $E$ の起こる条件付き確率は,$\dfrac{\myBox{ク}}{\myBox{ケ}}$ である。
次は条件付き確率を求める問題。
事象 $E_1\cap E$ は事象 $E$ と等しいから,求める確率は
P_{E_1}(E)&=\dfrac{P(E_1\cap E)}{P(E_1)}=\dfrac{P(E)}{P(E_1)} \\[4pt]
&=\dfrac{\dfrac{1}{2}}{\dfrac{5}{6}}=\dfrac{3}{5}
\end{align*}
(4)の解答
(4) 次の $\mybox{コ}$, $\mybox{サ}$, $\mybox{シ}$ に当てはまるものを,下の⓪~⑤のうちから一つずつ選べ。ただし,解答の順序は問わない。
B,Cの少なくとも一方があたりのくじを引く事象 $E_2$ は,
3つの排反な事象 $\myBox{コ}$, $\myBox{サ}$, $\myBox{シ}$ の和事象である。
⓪ Aがはずれのくじを引く事象
① Aだけがはずれのくじを引く事象
② Bがはずれのくじを引く事象
③ Bだけがはずれのくじを引く事象
④ Cがはずれのくじを引く事象
⑤ Cだけがはずれのくじを引く事象
また,その和事象の確率は $\dfrac{\myBox{ス}}{\myBox{セ}}$ である。他方,A,Cの少なくとも一方があたりのくじをひく事象 $E_3$ の確率は,$\dfrac{\myBox{ソ}}{\myBox{タ}}$ である。
丁寧に考えよう。
事象 $E_2$ が起こる場合を考える。
はずれくじが2本しかないため,Aがはずれくじを引いたとき,B,Cの少なくとも一方は自動的にあたりくじを引くことになる。
また,Aがあたりくじを引いたとき,B,Cのどちらか一方はあたりくじを引かなければならない。
このとき,あたりくじが2本しかないことを考えると,B,Cのいずれか一方がはずれくじを引くことになる。
よって,事象 $E_2$ は3つの排反事象⓪,③,⑤の和事象である。
その和事象の確率を求めよう。
Aがはずれのくじを引く確率は
\dfrac{2}{4}=\dfrac{1}{2}
\end{align*}
(2)で求めた値を再利用して,どちらも $\dfrac{1}{6}$ である。よって,求める確率は
\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{6}+\dfrac{1}{6}=\dfrac{5}{6}
\end{align*}
事象 $E_3$ の確率を求めよう。
A,Cがともにはずれのくじを引くとき,Bはあたりのくじを引くから,その確率は
\dfrac{2}{4}\Cdot\dfrac{2}{3}\Cdot\dfrac{1}{2}=\dfrac{1}{6}
\end{align*}
1-\dfrac{1}{6}=\dfrac{5}{6}
\end{align*}
(5)の解答
(5) 次の $\mybox{チ}$ に当てはまるものを,下の⓪~⑥のうちから一つ選べ。
事象 $E_1$ が起こったときの事象 $E$ の起こる条件付き確率 $p_1$,事象 $E_2$ が起こったときの事象 $E$ の起こる条件付き確率 $p_2$,事象 $E_3$ が起こったときの事象 $E$ の起こる条件付き確率 $p_3$ の間の大小関係は,$\myBox{チ}$ である。
⓪ $p_1<p_2<p_3$ ① $p_1>p_2>p_3$ ② $p_1<p_2=p_3$
③ $p_1>p_2=p_3$ ④ $p_1=p_2<p_3$ ⑤ $p_1=p_2>p_3$
⑥ $p_1=p_2=p_3$
$p_2,~p_3$ を求めて大小を比較しよう。
(3)より,$p_1=\dfrac{3}{5}$ である。また,$E_2\cap E=E$ であるから
p_2&=\dfrac{P(E_2\cap E)}{P(E_2)}=\dfrac{P(E)}{P(E_2)} \\[4pt]
&=\dfrac{\dfrac{1}{2}}{\dfrac{5}{6}}=\dfrac{3}{5}
\end{align*}
p_3&=\dfrac{P(E_3\cap E)}{P(E_3)}=\dfrac{P(E)}{P(E_3)} \\[4pt]
&=\dfrac{\dfrac{1}{2}}{\dfrac{5}{6}}=\dfrac{3}{5}
\end{align*}
ちなみに,$E_1\cap E=E_2\cap E=E_3\cap E=E$ であることと,$P(E_1)=P(E_2)=P(E_3)$ であることが分かれば,$p_1=p_2=p_3$ であることが分かるため,具体的な計算をする必要はない。
2017年 センター数学ⅠA 場合の数・確率を解いた感想
「少なくとも」とあれば,基本的に余事象を考えることで計算量を減らすことができる。
1つの事象を複数の事象の和事象で考える問題では,情報を整理して考える力が重要である。