Contents
- ページ1
- 1 2次方程式の判別式
- ページ2
- 1 2次方程式の複素数解【東洋大】
- ページ3
- 1 係数が複素数の2次方程式【津田塾大】
2次方程式の複素数解【東洋大】
2020年 東洋大複素数 $2+\sqrt{3}i$ が2次方程式 $x^2+ax+b=0$ の解であるとき,$a=-\myhako$, $b=\myhako$ である。ただし,$a,~b$ は実数,$i$ は虚数単位とする。
【考え方と解答】
複素数 $2+\sqrt{3}i$ が2次方程式 $x^2+ax+b=0$ の解であるから
複素数 $2+\sqrt{3}i$ が2次方程式 $x^2+ax+b=0$ の解であるから
\begin{align*}
&(2+\sqrt{3}i)^2+a(2+\sqrt{3}i)+b=0 \\[4pt]
&2a+b+1+(a+4)\sqrt{3}i=0
\end{align*}
$a,~b$ は実数であるから&(2+\sqrt{3}i)^2+a(2+\sqrt{3}i)+b=0 \\[4pt]
&2a+b+1+(a+4)\sqrt{3}i=0
\end{align*}
\begin{align*}
2a+b+1=0~かつ~a+4=0
\end{align*}
これを解いて,$a=-4,~b=7$2a+b+1=0~かつ~a+4=0
\end{align*}
ヒロ
この問題は,次のポイントを知っていると別の解き方をすることができる。
実数係数の2次方程式の解係数が実数である2次方程式が複素数解 $p+qi$($p,~q$ は実数)をもつとき,共役な複素数 $p-qi$ も解である。
ヒロ
簡単に証明しておこう。
【実数係数の2次方程式】
$a,~b,~c,~p,~q$ を実数とし,$i$ を虚数単位とする。$p+qi$($q\neq0$) が $ax^2+bx+c=0$ の解であるとき
$a,~b,~c,~p,~q$ を実数とし,$i$ を虚数単位とする。$p+qi$($q\neq0$) が $ax^2+bx+c=0$ の解であるとき
\begin{align*}
a(p+qi)^2+b(p+qi)+c=0
\end{align*}
が成り立つ。これよりa(p+qi)^2+b(p+qi)+c=0
\end{align*}
\begin{align*}
&ap^2-aq^2+bp+c+(2apq+bq)i=0 \\[4pt]
&ap^2-aq^2+bp+c=0~かつ~2apq+bq=0
\end{align*}
このとき&ap^2-aq^2+bp+c+(2apq+bq)i=0 \\[4pt]
&ap^2-aq^2+bp+c=0~かつ~2apq+bq=0
\end{align*}
\begin{align*}
a(p-qi)^2+b(p-qi)+c&=ap^2-aq^2+bp+c-(2apq+bq)i \\[4pt]
&=0
\end{align*}
となるから,$p-qi$ も $ax^2+bx+c=0$ の解である。a(p-qi)^2+b(p-qi)+c&=ap^2-aq^2+bp+c-(2apq+bq)i \\[4pt]
&=0
\end{align*}
ヒロ
このことを利用すると,次のように別の解法で解くこともできる。
ヒロ
複素数 $2+\sqrt{3}i$ が2次方程式 $x^2+ax+b=0$ の解であるとき,$a=-\myhako$, $b=\myhako$ である。ただし,$a,~b$ は実数,$i$ は虚数単位とする。
【別解】
係数が実数の方程式 $x^2+ax+b=0$ が $2+\sqrt{3}i$ を解にもつとき,$2-\sqrt{3}i$ も解であるから,方程式の左辺は
係数が実数の方程式 $x^2+ax+b=0$ が $2+\sqrt{3}i$ を解にもつとき,$2-\sqrt{3}i$ も解であるから,方程式の左辺は
\begin{align*}
x^2+ax+b=\{x-(2+\sqrt{3}i)\}\{x-(2-\sqrt{3}i)\}
\end{align*}
と因数分解できる。右辺を展開すると $x^2-4x+7$ となるから,$a=-4,~b=7$ となる。x^2+ax+b=\{x-(2+\sqrt{3}i)\}\{x-(2-\sqrt{3}i)\}
\end{align*}
ヒロ
ちなみに,3次以上の高次方程式についても同じことが言える。
【実数係数の方程式】
実数係数の $x$ の方程式
よって,実数係数の方程式が複素数を解にもつとき,その共役な複素数も解となる。
実数係数の $x$ の方程式
\begin{align*}
a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots+a_1x+a_0=0~\cdots\cdots①
\end{align*}
が複素数 $\alpha$ を解にもつとするとa_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots+a_1x+a_0=0~\cdots\cdots①
\end{align*}
\begin{align*}
a_n\alpha^n+a_{n-1}\alpha^{n-1}+\cdots+a_1\alpha+a_0=0
\end{align*}
が成り立つ。このとき,両辺の共役な複素数を考えるとa_n\alpha^n+a_{n-1}\alpha^{n-1}+\cdots+a_1\alpha+a_0=0
\end{align*}
\begin{align*}
&\overline{a_n\alpha^n+a_{n-1}\alpha^{n-1}+\cdots+a_1\alpha+a_0}=\overline{0} \\[4pt]
&a_n\overline{\alpha}^n+a_{n-1}\overline{\alpha}^{n-1}+\cdots+a_1\overline{\alpha}+a_0=0
\end{align*}
これは方程式①が $\overline{\alpha}$ を解にもつことを示している。&\overline{a_n\alpha^n+a_{n-1}\alpha^{n-1}+\cdots+a_1\alpha+a_0}=\overline{0} \\[4pt]
&a_n\overline{\alpha}^n+a_{n-1}\overline{\alpha}^{n-1}+\cdots+a_1\overline{\alpha}+a_0=0
\end{align*}
よって,実数係数の方程式が複素数を解にもつとき,その共役な複素数も解となる。